万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

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「生命の歴史は繰り返すのか?」の感想

「生命の歴史は繰り返すのか? 進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む」(ジョナサン・B・ロソス/化学同人)生命の歴史は繰り返すのか?ー進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む作者:Jonathan B. Losos化学同人Amazon大変に素晴らしい本だった。 進化の行く末は…

ケン・リュウ「紙の動物園」/分断と断絶/せめて慰めくらいは

話題作、ケン・リュウ「紙の動物園」をようやく読了した。素晴らしい出来。テーマが重い作品も多く、NHKの「映像の世紀」を見た時のようなシリアスな読後感。 おそらく、それは史実や戦争、紛争、社会問題を扱った作品が多いことにも起因しているだろう。そ…

「天冥の標3 アウレーリア一統」の間違ったあらすじ

天冥の標 3 アウレーリア一統 (ハヤカワ文庫 JA)作者:小川 一水早川書房Amazonというわけで、「男の娘は戦艦館長!? 3 天冥の標」を読了しました。 僕はサー・アダムス・アウレーリア。よく間違われるけど、歴とした男性。 世に名高い宇宙戦艦エスレルの少…

「時砂の王」は、新しい小川一水の幕開けであるかもしれない

時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)作者:小川 一水早川書房Amazon中々時間が取れなかったのだけれど、読み始めたら一気に読了。 このような傑作が単行本ではなく文庫書き下ろしで刊行されるとは、なんとも贅沢な時代になったものだ。 小川一水がこれまで発表してきた…

「虐殺器官」は進化心理学SFの傑作である……と、お、思いませんか?(弱気)

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)作者:計劃, 伊藤早川書房Amazon「虐殺器官」は骨太なエンターテイメントSFで、本年度の喜ぶべき収穫。 色んな要素を消化して楽しませてくれるんだけどさ、色んな人の感想や惹き文句を見てみると、言語学への言…

「虐殺器官」について

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)作者:計劃, 伊藤早川書房Amazon幻詩狩り (創元SF文庫)作者:川又 千秋東京創元社Amazonジェノサイドの丘(上) ルワンダ虐殺の隠された真実 [ フィリップ・ゴーレイヴィッチ ]価格: 1760 円楽天で詳細を見るジ…

「星新一 一〇〇一話をつくった人」

星新一 一〇〇一話をつくった人作者:最相 葉月新潮社Amazon「星新一 一〇〇一話をつくった人」(最相葉月/新潮社)ようやく読了。 すばらしい本だ。星雲賞は多分取ると思うけれど、日本SF大賞も取るべきだ。 SFファンが読んだら面白いのはもちろんである。…

小川一水「天涯の砦」

天涯の砦 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)作者:小川 一水早川書房Amazon「天涯の砦」を読了した。 一言で言うとポセイドン・アドベンチャーであり、タワーリング・インフェルノである。壊滅的な事故により、宇宙空間を漂流せざるを得なくなった人々のサバ…

「タフの方舟」がえらく面白かったのよ

ジョージ・R・R・マーティンの連作短編集「タフの方舟 1 禍つ星」「タフの方舟 2 天の果実」をこの間読了。いや、これがえれえ面白かったのよ。 エコロジカル関係における、愚直なまでにストレートで割りと一面的な主張に眉をひそめる向きもあるでしょう…