万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

SF

「ハーモニー」は火薬と進化心理学の不幸な結婚である

ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)作者: 伊藤計劃出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/12メディア: 単行本購入: 48人 クリック: 852回この商品を含むブログ (342件) を見る 読了した。これはいいわー。百合の香り漂う表紙や粗筋からは想像つ…

「虚構機関」――漢字四文字の創元SF文庫を狙え!

虚構機関―年刊日本SF傑作選 (創元SF文庫)作者: 田中哲弥,大森望,日下三蔵出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2008/12メディア: 文庫購入: 12人 クリック: 176回この商品を含むブログ (99件) を見る というわけで、今「虚構機関」を読んでいる。考えてみれば…

地獄極楽「炉心融解」/個人用自殺装置としての核融合炉

すまない。また「炉心融解」の話なんだ。もうリピートが止まらなくてね。音的なことは難しいことよくわからないんだけど、キャッチーでJ-POP的なメロディーやオケとドラムンベースをくっつけた時点で、もう勝ったも同然というか。ありそうで(特に最近は)な…

勝手にSFだけでハヤカワ文庫100冊 その11 スリランカから日本を眺めて(76〜79)

この一連のエントリでハヤカワ文庫JAの作品群をどう取り上げたものか、いやあ、悩ましいものがある。 無視できないカタログがそろっているものの、年代別に取り上げるようなアプローチを取るには欠落が多すぎるし、クラシックとも言える作品については他の…

勝手にSFだけでハヤカワ文庫100冊 その10 現代SF――「現代」ってなんのこっちゃ?(69〜75)

サイバーパンク運動が終わってもSFは続く。 90年代以降、わかりやすい大きな流れは特にない。もちろん、注目すべき流れや作品・作家はある。 言い換えると、まだまだきちんとした世界地図を誰も書いていない程度には、90年代以降の海外SFは混沌とし…

勝手にSFだけでハヤカワ文庫100冊 その9 Everybody Loves Cyber Punks?(61〜68)

と、いうわけで、80年代に華麗に登場したサイバーパンクは瞬く間に燃え広がり、SFを席巻した。 ……のか? 本当に? サイバーパンクはすごかった。それは確か。多くの才能を輩出したし、多くの影響をもたらしたし、それに続く作品や、他の作家が便利に使え…

勝手にSFだけでハヤカワ文庫100冊 その8 サイバーパンク農業(52〜60)

かつて、そこには豊かな森が広がっていた。最初期にそこに移り住んできた作家たちはその地域の利用可能な資源の豊かさに目を見張った。入植者たちは「SFktkr! これで勝つる!」と喜んだ。 仕留めやすい獲物も多かったし、果実ももぎ放題だった。 すぐ近く…

勝手にSFだけでハヤカワ文庫100冊 その5 男がどんなに偉くても女のSFには敵わない(36〜41)

ニューウェーブ以降、80年代に入るまでわかりやすい運動・流れといったものはないのだけれど、すぐれた作品は多く生み出された。 そんな中でも注目すべきは女性作家の台頭だと思う。 36・「闇の左手」アーシュラ・K・ル・グィン 37・「所有せざる人々…

勝手にSFだけでハヤカワ文庫100冊 その7 ツンデレファンタジア(47〜51)

80年代初頭に、グレゴリイ・ベンフォードあたりが筆頭になってファンタジー汚染論なるものが唱えられたことがある。簡単にまとめると 「なんか最近、舞台を『遠い未来の他の惑星』に置き換えただけのサイエンスファンタジーばっかし幅きかせやがって。俺ら…

勝手にSFだけでハヤカワ文庫100冊 その6 我が赴くは古書の群れ(42〜46)

先のエントリで「というか、60年代後半から80年代を迎えるまでの作品群、なぜかいまでは入手しにくいものが多いのである」と書いたけれど、先のエントリで名前だけ挙げた作家たちの他にも、これから挙げる作家たちのことを念頭においてあのように書いた…

勝手にSFだけでハヤカワ文庫100冊 その2 赤コーナーより黄金時代の入場です!(5〜14)

英米のSFを語るときに、1950年代のことを黄金時代などと言ったりすることがある。 ようするに定番中の定番。鉄板中の鉄板。ミステリで言うならクリスティやらクイーンやら。歴史小説で言うなら司馬遼太郎やら藤沢周平やら。それくらいの作品が発表され…

勝手にSFだけでハヤカワ文庫100冊 その1 非英語圏強襲(1〜4)

以前からハヤカワ文庫はHOT HITと題してフェアを行っていたんだけれども、それがこの秋からハヤカワ文庫の100冊としてリニューアルするのだそうで。うち10タイトルをマニア垂涎の復刻・復刊が占めていたり、25タイトルが新しいカバーになったり…

勝手にSFだけでハヤカワ文庫100冊 その4 時代の流れに収まらない人たち(22〜35)

さて、なんとなく50年代、60年代ときて、じゃあ次は70年代なのだけれど、そういった流れを追うようなやり方だと、なかなか言及しにくいような作家・作品というのもでてくるわけですよ。 また、そんな作品・作家に限って好きだったり面白かったりするわ…

勝手にSFだけでハヤカワ文庫100冊 その3 新しい波がやってきた! ヤア! ヤア! ヤア!(15〜21)

60年代に入ると、イギリス発でニューウェーブと呼ばれる流れが起こる。簡単に言うと、マンネリ気味なSF業界に生きのいい若手が小説技巧やそれまでなかった主題や実験を武器に殴り込みをかけた。で、ジュディス・メリルという有名な編集者が「英国、SF…

あなたもこの2冊で存分にSFを語ろう! /齟齬は雄弁に語る/「ディック」を「フィル」と呼ぶ権利を与えてやる。

SF小説を語るのに全てのSF小説を読む必要はあるか? - ハックルベリーに会いに行く 引用しよう。 だから、もし本当にSF小説を語りたいなら、読むのは一冊(多くて二冊)で良い。但し、それは重要な作品である必要がある。そして、それが重要な作品なのだとい…

私家版SF OLD STANDARD その2 ハードSF 妄想自然科学入門

SFが読みたい!〈2008年版〉発表!ベストSF2007 国内篇・海外篇の「SF最新スタンダード200徹底紹介」、2番目は松浦晋也氏によるハードSFのブックガイド。その名も「科学+文芸≦SF ハードSF、理系小説」であります。 SFの中でも自然科学、ハード・サイエン…

私家版SF OLD STANDARD その2 サイバーパンクSF 千葉市の春を愛す

SFが読みたい!〈2008年版〉発表!ベストSF2007 国内篇・海外篇の「SF最新スタンダード200徹底紹介」。トップバッターを飾りますのが前島賢氏による「チバ・シティの現在 ポスト・サイバーパンク」でございます。 ご存知の方には野暮な事柄でございましょう…

私家版SF OLD STANDARD その1 前口上 或いは言い訳でいっぱいの海

SFが読みたい!〈2008年版〉発表!ベストSF2007 国内篇・海外篇作者: SFマガジン編集部出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/02メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 62回この商品を含むブログ (79件) を見る 「SFが読みたい! 2008年度版」をあちこち…

SFが読みたい! 2008年度版/刊行予定は出版社の華 刊行遅れはSFの華

SF

SFが読みたい!〈2008年版〉発表!ベストSF2007 国内篇・海外篇作者: SFマガジン編集部出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/02メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 62回この商品を含むブログ (79件) を見る最近忙しくてブログの方が更新できなかった・久々…

航空宇宙軍史がすごいことになるらしい。

いや、ちょっとはチェックしておかなきゃと思って、「このミステリーがすごい! 2008年版」をパラパラと見てたんですよ。 そしたら、61ページで、谷甲州が航空宇宙軍史の全面改稿に着手すると書いてあった。へー。 なんだとっ!! マジか? 本当に本当か? …

「時砂の王」は、新しい小川一水の幕開けであるかもしれない

時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)作者: 小川一水出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/10メディア: 文庫購入: 18人 クリック: 219回この商品を含むブログ (240件) を見る中々時間が取れなかったのだけれど、読み始めたら一気に読了。 このような傑作が単行本では…

海燕さんへお返事申し上げます。/落合と亀田とSFと初音ミクと人気と実力について

まずは事情説明から。海燕さんがご自分のブログでこのようなエントリを書かれました。落合、亀田、初音ミク。 - Something Orange私はそのエントリをブックマークし、このようなブックマークコメントを残しました。 未だに「SFは冬の時代」という認識だとし…

DS文学全集に夢中 その3 海野十三大奮闘

DS文学全集出版社/メーカー: 任天堂発売日: 2007/10/18メディア: Video Game購入: 5人 クリック: 97回この商品を含むブログ (105件) を見るさて、DS文学全集にはランキング機能というのがありまして、Wi-fiでその時の全国のランキングをダウンロードして読書…

ライトノベルもサイバーパンクも似たようなもんです。きっと。/あれ? 運動が巨大化してジャンルになるのか?

ライトノベルとサイバーパンクは似たようなものだと思っていたのだけれど違うのだろうか。誰か私に手取り足取り教えてくれる優しいエロい人はいないだろうか。えーと、24歳から35歳くらいの、女性の方が良いです。 雲上四季 - 極めて個人的なライトノベルの…

ひょっとして「夏のあらし!」はすごいかもしれない

夏のあらし! 1 (ガンガンWINGコミックス)作者: 小林尽出版社/メーカー: スクウェア・エニックス発売日: 2007/02/27メディア: コミック購入: 2人 クリック: 80回この商品を含むブログ (119件) を見る 夏のあらし! 2 (ガンガンWINGコミックス)作者: 小林尽出版…

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」は、駄目な男でありズルい女である

観て来ましたよ、新しいエヴァンゲリオン。 私の世代は、エヴァンゲリオンに期待なんかしてはいけないということを学習したはずなのに。 見終わってみると、ついつい期待してしまう。ああ、なんて馬鹿なんだろう。きっとまた裏切られるに違いないと頭ではわ…

「虐殺器官」は進化心理学SFの傑作である……と、お、思いませんか?(弱気)

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)作者: 伊藤計劃出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/06メディア: 単行本購入: 26人 クリック: 761回この商品を含むブログ (339件) を見る「虐殺器官」は骨太なエンターテイメントSFで、本年度の喜ぶべき収穫…

「最後から二番目の真実」はいいタイミングで復刊されたかも

最後から二番目の真実 (創元SF文庫)作者: フィリップ・K.ディック,Pilip K. Dick,佐藤龍雄出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2007/05メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 11回この商品を含むブログ (38件) を見る待望の復刊。 というか、ディックの本だった…

「虐殺器官」について

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)作者: 伊藤計劃出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/06メディア: 単行本購入: 26人 クリック: 761回この商品を含むブログ (339件) を見る 幻詩狩り (創元SF文庫)作者: 川又千秋出版社/メーカー: 東京創元社…

Self-Reference ENGINEのことを書くにあたり、どのような作家や作品が引き合いに出されているのか

Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)作者: 円城塔出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/05メディア: 単行本購入: 11人 クリック: 323回この商品を含むブログ (262件) を見る Self-Reference ENGINEの感想をいくつか集めてみたんだ…