万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

レコードの還流防止措置におけるガイドライン公表

れしさんとこ経由のさらに謎工さんとこ経由。文化庁が還流防止措置のガイドライン公表。こちらこちらをどうぞ。


で、簡単にまとめると、まずは要件が五つ。

 要件〓 国内において先又は同時に発行されている国内頒布目的商業用レコード(国内において頒布することを目的とする商業用レコードをいう。以下同じ。)と同一の国外頒布目的商業用レコードであること。
 要件〓 「情」(要件〓の事実)を知りながら、輸入する行為等であること。
 要件〓 国内において頒布する目的での、輸入行為又は所持行為であること。
 要件〓 国外頒布目的商業用レコードが国内で頒布されることによって、それと同一の国内頒布目的商業用レコードの発行により権利者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合であること。
 要件〓 国内頒布目的商業用レコードが国内において最初に発行された日(国内において最初に発行された日が、改正法の施行日より前である場合にあっては、一律改正法の施行日)から起算して4年以内であること。

このうち、「国内において先又は同時に発行されている」という部分は、このガイドライン独自のものであり、法的拘束力はない

要件〓についての留意点が2つ挙げられているが、そのうち二つ目。

イ 国外頒布目的商業用レコードが発行されているのみで、それと同一の国内頒布目的商業用レコードが発行されていない場合は、もとより本措置の対象外であるが、更に、国内頒布目的商業用レコードが廃盤となった場合(レコード会社から小売店等に対して発した当該国内頒布目的商業用レコードの回収に係る通知に記載された受付開始日を当該廃盤の日とみなす。以下同じ。)にも、従前は本措置の対象であった、それと同一の国外頒布目的商業用レコードは、本措置の対象外として取り扱われることとなること。また、このことは、改正法附則第3条が適用される、改正法の施行日より前に発行された国内頒布目的商業用レコード(以下「旧譜」という。)についても同様であること。

この廃盤に関する規定も、このガイドライン独自のものであり、法的拘束力はない。

さらに要件〓の中での「同一」という部分。どこからどこまでを同一の範囲内とするのかについて。記録媒体の違いについては問わないというのは以前から国会答弁で言っていたことであったが、さらに詳細に。

ア 商業用レコード
  「商業用レコード」とは、市販の目的をもって製作されるレコードの複製物をいい、「レコード」とは、録音テープその他の物に音を固定したもの(音をもっぱら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)をいうので(法第2条第1項第5号及び第7号)、具体的には、いわゆるレコード盤のみならず、音楽用CD、DVDオーディオ、カセットテープ等が含まれるが、音が固定されているものであっても、例えば、携帯電話、パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション等は、その音を市販することを主たる目的としているわけではないので、商業用レコードには含まれないこと

イ 同一要件を満たすもの
 本措置の対象となる「同一の商業用レコード」とは、商業用レコード全体として固定されている音が同一であれば足り、例えば、次の(ア)又は(イ)の場合であっても、なお同一要件は満たされるものとして取り扱われること。
(ア)ジャケットや歌詞カードなどの附属品が異なる場合
(イ)音楽用CDとDVDオーディオなど、媒体が異なる場合
  なお、我が国の音楽文化の海外普及を促進するという本措置の趣旨にかんがみ、次の(ウ)の場合も、同一要件は満たされるものとして取り扱うこととすること。
(ウ)国外頒布目的商業用レコードに、いわゆるボーナストラックが1曲のみ付加されている場合(ただし、それに対応する国内頒布目的商業用レコードの収録曲数が12曲以上である場合に限る。)

ウ 同一要件を満たさないもの
 収録曲は同じでも、曲順が異なる場合は、同一要件は満たさないものとして取り扱われること。


ここなんかはかなり文化庁としてはがんばったところなんじゃないかなと思うんだが、いかんせん、やっぱり法的拘束力はなかったりするんだな、これが。残念。

他には

 権利者がジャケット等に「情」(要件〓の事実)の内容を明確に表示していない国外頒布目的商業用レコードは、要件〓の立証が困難となること。このため、関税定率法(明治43年法律第54号)第21条の2の規定に基づく税関長に対する輸入差止申立て(以下「輸入差止申立て」という。)を行うに当たっては、当該表示がなされていることを示す資料を提出する必要があること。

日本レコード協会は、本通知を踏まえ、本措置の税関等における円滑な運用に資するため、少なくとも次のアからカまでの内容を満たす、要件〓に係る表示に関する運用基準を作成及び公表し、加盟会社に適切な表示内容及び方法として推奨するとともに、今後の運用状況を踏まえ、必要に応じて適宜見直しを行うこと。
 なお、その作成及び見直しに当たっては、事前に文化庁に協議されたいこと。

ア ジャケット、バックインレイ、キャップなど外部から見える場所のほか、相対的に簡易な記載内容でも差し支えないので、盤面にも表示すること
イ 特段の理由がない限り、シールの貼付等ではなく印刷によること。
ウ 日本語又は英語を含む、2種類の言語で併記すること。
エ 当該国外頒布目的商業用レコードに係る本措置の対象期限についても記載すること。
オ 本措置を行使するために必要な他の要件のうち、表示を付する時点で判断可能なもの(〓、〓(可能な場合)及び〓)については、各要件を充足することを確認した上で、表示を付すること。
カ 旧譜より後又は同時に発行された、それと同一の国外頒布目的商業用レコードについても、当該運用基準は同様に適用すること。


表示の大きさについては、残念ながら指定なしですな。印刷によるってのは評価できるけど。税関への資料の提出が必要というのもまあ○。
法的拘束(rh

あとは国会でも紛糾した「利益が不当に害される」具体的な基準。

(1)不当の基準の運用

  「(権利者が)得ることが見込まれる利益」とは、商業用レコードの売上額そのものではなく、いわゆるライセンス(使用許諾)料をいい、国外頒布目的商業用レコード1枚当たりのライセンス料を、それと同一の国内頒布目的商業用レコード1枚当たりのライセンス料で除した数が0.6以下である場合(以下「不当の基準」という。)は、当該利益が不当に害されるものとして取り扱うこととすること。

というわけで、「不当に害される」の基準は6割。
情報公開については

(1)対象リストの公開

 日本レコード協会は、自ら又は他の者にライセンスを付与して国外頒布目的商業用レコードを発行している加盟会社に対し、当該国外頒布目的商業用レコードの輸入差止申立てに係る、少なくとも次のアからキまでの内容を含むリスト(以下「対象リスト」という。)を作成させ、当該加盟会社のウェブサイトにおいて速やかに公開及び更新させるとともに、加盟会社の対象リストを取りまとめ、日本レコード協会のウェブサイト等を通じて一般に周知すること。

ア 輸入差止申立てに係る状況表示
 (申立て予定/受理済み/取下げ予定(日付)/取下げ済み又は対象期限経過)
イ アーティスト名 
ウ タイトル
エ 商品番号
オ 発行(予定)日
カ 対象期限
キ 発行又はライセンス国等

リストの作成と公表を各社及び協会任せにするというのは、どうなん?


と、あとはめんどくさいので省略(笑)。
まあ、ここの基準を見ると、割と評価できるものにまとまったんと違いますか?
ただ、文中何度も書いたように法的拘束力はないんだな(一部、元々の条文に盛り込まれているものがあるんで、それは拘束力ありますが。あと例の「4年」という期間も)。
ギリギリで出してきたにしちゃあ良くまとまってると思うんだけど、権利の創設を急いだせいでこれらの基準は一切の拘束力を持たないものとなったってな印象を受ける。
文化庁が自分で言い出したことが守られないような事態になったら、法律改正(含む撤廃)に向けて、また一騒ぎ。
そのときの騒ぎ方はどのくらいの規模になるでありましょうや。大騒ぎになるか小騒ぎになるか、ぶっちゃけわからんけども、まあ、少なくとも俺は騒ぐだろうなあ。
で、このエントリー実は続きます