万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

薄利多売幻想

特にいい話題も無いので、再販制と薄利多売のことでも書いておこうと思う。とはいっても、別に何か目新しいことを書こうというわけでも、今話題のことを書こうというわけでもないのでよろしく。

ええと、去年から気になってはいたんだ。何が気になっていたかというと、CDや書籍に対する再販制が廃止されると価格競争が起こり、結果価格が安くなり、業界全体が薄利多売の方向へと変化していく、みたいな見方をしてるっぽい方を何人かお見かけしたりしたわけですよ(誤解の無いように書いておくと「再販制度を廃止して薄利多売に汁!」というのが、そういった方々の主たる主張というわけでは全然ないのであしからず)。
いや、多分そうはならないんだわ。


価格は間違いなく変化すると思うよ。安くなるものも出てくるだろう。
でもねえ、どの本・どのCDも安くなって消費者万歳にはなりようがないってのは、まあ、ちょっと考えればわかる話で。いや、簡単に言うと、すべての商品が薄利だったら、その店、潰れるのね。
薄利多売のイメージで売ってる店も、しっかり利益を取れる商品ってのはやっぱりあるわけでさ。
著作物の新品売って生計立てている店舗で現状一番まずい点は、もしかしてここなんじゃないかなどと漠然と思ったりする。「しっかりと利益を取れる著作物」ってのは存在しているのだろうか?
「いや、実はあるんだよ」っていうのがあったら、是非指摘をお願いいたしたく。


で、再販制が廃止されたら当然価格競争が生じるわけで、値下げ競争も起こると思うんだけど、値下したことによる利益減をカバーできる程に売上が上がるかって言ったら、そう世の中甘くないわけですよ。
煙草を思い浮かべてもらうとわかりやすいかもしれない。嗜好品である煙草は値上げしても利益が確保できるわけで、つまり裏返すと値下してもさほど効果が望めない、ということでもある。
運の悪いことに、大半の音楽、大半の書物は嗜好品でございまして、嗚呼、なんということだ。


でね、つまり価格競争は起こるだろうけど、その分の利益をどこかで確保しなければならないわけで。利益を確保するための画期的な方法でもありゃあいいんだろうけど、生憎そんなものも見当たらず、じゃあどうするかってえと値上げが起こるわけです(もちろん、商品全部の値段が上がるなんてこたあないけど)。
ちょっと見難いのだけれど、こちらなんぞ読んでいただきますと、やっぱり再販制度を廃止した諸外国でも値上げって言うのが起こってるのね。


まあ、私自身は再販なんざとっととなくしたほうが将来的に絶対よいと思っているのだけれど(つーか、再販制の下でよく在庫管理なんざできるもんだ。逆に感心するわ)、再販制が廃止されることですべての音楽・すべての書物が安くなるユートピアが出現するかというと、全くそんなことは無いよ、と。
まあ、当たり前っちゃあ当たり前で、しかも面白くも無い話ですな。

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