万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

「図書館についての声明」が論理的におかしい気がする件

昨日、日本文芸家協会など5団体が共同で図書館についての声明というのを出し、その中で公貸権の導入も謳われていることを取り上げた(そのエントリはこちら)けれど、肝心の声明文が協会のサイトには掲載されておらず読めない状態であった。
で、仕事から帰って来てCopy & Copyright Diaryさんを見て、声明文が読めるようになったことを知る。こちらがその声明文
変だなと思った部分があるので、その部分を引用する。

一方、長びく出版不況で、著作者および出版社の置かれた状況も厳しいものになりつつあります。図書館予算の削減は、本来図書館に置かれるべき良質の図書の販売を減少させ、結果としては、文芸文化そのものが危機にさらされているというべきでしょう。


この部分を言い直すと「図書館予算が削減されると、図書館に置いてもらっていた様な本の図書館に対しての売上も落ちますんで、ある意味文芸文化の危機といえるんじゃないでしょうか」となる。うんなるほど。
ところが、この声明文はこう続くのだな。

文芸文化を護るという観点から、ヨーロッパなどの先進諸国では、すでに図書館での無料貸出に対して、公貸権(Public Lending Right)が設定され、著作者に対して国家基金による補償金が支払われています。先進国を自負する日本においても、著作者等に対して何らかの補償金制度の実現が検討されるべき時期に来ていると思われます。


この部分は「文芸文化を守るという目的で、図書館での無料貸し出しでも著作者にお金が入ってくるという『公貸権』がヨーロッパなどでは設定されています。日本でも考えてみてはいかが?」となる。
おかしくない?
前段では「図書館に本を買ってもらえなくなることが、文芸文化の危機にもつながる」と言っているわけよね?
ところが後段では「文芸文化を守るために図書館からもお金をもらえるようにするべきだ」と言っているわけでしょ?
公貸権を導入することで(=図書館での貸し出しからもお金がもらえるようにすることで)図書館の図書購入費が増えるんだったら、後段は前段の解決策として有効だろうけど、どう考えても「図書館の図書購入費」と「公貸権」につながりはないわな。
つまり、この声明文における「文芸文化の危機」の指摘と「公貸権導入の主張」の間には論理的なつながりはない。「文芸文化」というキーワードを共通させることで無理やりつながりがあるように見せているだけだよ。お粗末だな。