万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

私は食い意地の張った魚である

MORI LOG ACADEMY: 打合せ多数&補足

森氏は超一流の釣り師なんだそうである。

一度は勢いよく食いついたのに、もう一度食いつかないというのも釣られる側としていかがなものかと思うので、また釣られてみようと思う。


森氏は論点を3つに分けている。

1点目について。
理想を語るのに現状のへの関心はいらないみたいなことが書いてあるが、現状をその理想に近づけるためには必須だろう。
現状を変えることに関してはあまり関心が無いのかもしれない。

2点目について。
著作物の中でも、特に小説が特殊なのだというのはあまり読んだことが無く、新鮮であった。
ただ、途中から普通のインセンティブ論になり、最後は結局経済的に重要だってな話で終わってしまったのは、なんとも平凡で残念なことだ。

3点目について。
「著作権を守るにはどうすべきか、という話をしている」という記述があるが、これはおそらく「著作者を守る」の単純な書き間違いだろう。著作権のまま解釈すると、ちょっと意味がわからなくなってくるし。
著作者を何から守るのか。「何」の部分を回避しているのは実に巧妙であると思う。
著作者を守るというテーマで新古書店と図書館を挙げたわけであるので、新古書店と図書館から著作者を守るということになるだろう。
守るという以上、新古書店と図書館が著作者に迷惑をかけているということになる。
二つ目の論点の中で作者に充分な利益が還元されるかを問題にしていることを考えあわせると、新古書店と図書館のせいで、著作者に充分な利益が還元されないことが迷惑だ、という風に考えるのが妥当だろう。
ここら辺、「何から守るのか」を回避しているため、ただの推測だといわれればその通りである。本当に巧妙であると思う。


ここからは森氏の文章から離れる。私が、中古流通から著作者への利益還元について、どのように考えているかの話。
とはいっても、以前書いたエントリ「新古書店が金を払えと言われる二つの理由と、俺が金を払いたくねえなあと思う二つの理由」に若干の補足と、さらに現在の考えを加える程度なのだが、まあ、読んでいる人は少ないだろうから、おなじみである人も少なかろう。
このエントリの中で私は中古から著作者へ利益が還元されるべきだという風に主張される際の根拠として二つ挙げている。

1つ目が、中古のせいで利益が侵害されているのだから、その分を補償すべきだという論点。

2つ目が、著作物を商いしているのに利益を還元しないのはそもそもおかしいのだとする論点である。

ちなみに先日の日記で森氏が論じていたのは2つ目の論点の方である。
現在の法律的に云々を抜きにすると、私が2つ目の論点に賛成できない理由は、それによって1つ目の論点が無視されかねない危険性を伴っているからだ。
ここらへんについては以前「それでも著作権の問題の多くは経済的な問題である 或いは 敬意ってなにかね?」というエントリで触れたことがある。
その理念がどうあれ、経済的な要求がなされる以上は経済的な検討が必要とされるし、法律の改正でそれがなされようとするならば法学的な検討が必要とされる。そこらへんを抜きにした「まず還元ありき」の議論は、危うく思えて仕方が無いのだ。歯止めがきかなくなる。
ただし、逆に言うと。
逆に言うとだ、1つ目の論点、きちんとどれだけ侵害されているかを明らかにした上で、これだけを補償すべきだという議論が説得力をもってなされた場合には、それを2つ目の論点を盾にして反対するべきではない。それは著作者を社会的に切り捨てることにもつながりかねない。「まず反対ありき」の議論も、同様に危ういと思う。
森氏は現状のデータにも関心が無いのだろうか? それともあるのだろうか? それはわからないが、現状を変えよう、理想を目指そうとするのなら(いや、目指すことにも関心は無いかもしれないのだが)、今すべきことは、きっちりとしたデータの収集、またはデータを収集しようという機運を高めることであると考える。
 ちなみにこのへんについては以前「どなたかいい研究や調査を知りませんか?」というエントリで似たようなことを書いた(はてなでのエントリがこちら。以前やってたseesaa時代の同エントリがこちら。こちらにはコメントも書き込まれています)。
以前id:REV氏に「説明の責任が、新古書店側にあるのか、著作者側にあるのか、まずそこから」というブクマコメントをいただいたことがあるのだが、そんなん、両方に関係するんだから両方共同でやりゃ良いじゃんとか思う。というか、共同で信頼できるデータを収集すべきだという意見を、この問題に関心を持っている人は積極的にだしていくべきだろう。
つまり、私の場合「現状がどうなっているか」というのが最も重要だと考えている。森氏と真逆のスタンスというわけだ。


最後に。
森氏が自分の本を捨てるのに誰も文句をつけるわけはないし、お菓子は中古の流通とか気軽に利用できるアーカイブとか、お菓子レンタルとかないから、あんまし関係ない。先日の日記と関係が無い事でしめるあたり、本当に巧妙であると思う。あ、でもお菓子喫茶とかはありそうだな。でもそれってケーキバイキングと同じことか。