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万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

著作権の保護期間延長について 或いは 今度は我々がかける外圧と来るべきコピーライト・ヘイブン

著作権

著作権の保護期間の延長要望について、ようやっと関心が高くなってきたようだ。もっともっと高くなるといいと思う。

著作権の保護期間延長問題、権利者側への反論相次ぐ――文化審:ITpro


著作権保護期間の延長を巡る本格的な議論が開始、文化審議会小委:INTERNET Watch


Copy & Copyright Diary - 文化審議会著作権分科会過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会傍聴記



保護期間延長を要望する側の言い分についてだが、インセンティブがどうとかリスペクトがどうとか、そこらへんについてはもう語るのも虚しいだけであるので無視する。
国益という点から、考えてみようと思う。


EUとアメリカでは著作権の保護期間が著作権者の死後50年ではなく70年である。
しかしアメリカでは著作権の保護期間が50年の国の著作物もちゃんと70年保護してくれる。うん、問題ない。
EUでは、著作権の保護期間が50年の国の著作物は50年しか保護しない。
であるから、問題はEU相手のコンテンツビジネスにおいて、日本が黒字なのか赤字なのかということであり、これが赤字なんだったら、保護期間延長はむしろ日本の国益にマイナスに……って、ちょっと待った。
アジアですよ、アジア。


日本がコンテンツを輸出する先ってな議論で、アジアを外して考えても仕方あるめぇ。保護期間延長を要望する側がお題目のようにアメリカ並にEU並にと唱えているので、見落としやすいところだ。


世界各国の著作権保護期間の一覧 - Wikipedia


つうわけで、インドは保護期間60年。
インドネシア、韓国、タイ、台湾、香港、中国、ネパール、パキスタン、フィリピン、ベトナム、香港、マカオ、マレーシアは保護期間50年だ。
これらアジアの国々相手のコンテンツビジネスで、日本が著作権保護期間を延長するメリットというのは、ない。国益にとってはマイナスにもプラスにもならない。
では、プラスにするにはどうしたらいいか?


簡単だ。
アジア諸国に著作権の保護期間を延長するよう、外圧をかければよいのだ。おそらくはアメリカと共同で。


さて、少し話は変わる。INTERNET Watchの記事から引用しよう。

 日本写真著作権協会常務理事の瀬尾太一氏は、保護期間の延長は国際的に期間を平準化することのプラスとマイナスを見極めることが重要だと主張。「作品がインターネットで流通する時代となっており、日本で先に保護期間が切れた作品が、日本のサーバーから世界に向けて公開されるといった事態を放置することはできない」として、現時点では問題になっていないとしても、問題化する前に対策すべきではないかと述べた。


これ、日本だけが対策して何とかなる問題ではない。日本国内では無修正の裸を見ることは中々出来ないが、外国にサーバーが置いてあるサイトに行けば簡単に見ることが出来るのと同じことだ。世界中がいっぺんに保護期間70年になるわけじゃない。もっと保護期間が短い国へと舞台を変えて、同じことが繰り返される。
コンテンツ産業の重要性が今後高まっていくのなら、タックス・ヘイブンならぬコピーライト・ヘイブンが現れるかもしれないぞ。その国は他の国よりも著作権の保護期間が短く、そこにサーバーを置けば有利にビジネスを進めることができるのだ。
当然諸外国はそれを快く思わないだろう。これでもかという外圧で、やがてコピーライト・ヘイブンは消滅する。めでたしめでたし。


ちっともめでたくない。
何のためにベルヌ条約で「最低限の保護期間は50年」と定められているんだ。
国際的な取り決めとは全く異なる保護期間が外圧によって世界標準となる。
なんともはや、歪に過ぎるじゃないか。やっぱり、著作権は文化の繁栄が目的なんかではないに違いない。


というわけで、私の脳内では「アメリカが日本へ、日本とアメリカがアジアへ、日本とアメリカとアジアと中国とインドがさらに……と外圧が広がって行き、アメリカの保護期間が世界標準となる」という図式が出来てしまった。
保護期間延長? いやいや、むしろ日本はここが踏ん張りどころだぜ。


追記:一箇所「コンテンツ・ヘイブン」を「タックス・ヘイブン」と書き間違えたので訂正しました。
追記2:「コンテンツ・ヘイブン」という表現を「コピーライト・ヘイブン」に変更しました(2009年12月24日。メリー・クリスマス)