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万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

書籍の割引販売自体はいいと思うのだけれど……


asahi.com:「売れ残った本」半額に 出版社17社、ネットで本格販売 - 出版ニュース - BOOK

 再販契約で定価販売を義務づける出版業界で、「売れ残った本」をインターネット上で値引き販売しようという試みが、12日から本格的に始まる。これまでの絶版本や期間限定の割引販売から一歩進め、小学館や集英社、講談社、文芸春秋などの大手出版社が、絶版の一歩手前の「在庫僅少(きんしょう)本」を提供し、半額で通年販売する。出版不況で書籍の4割が読者の手に届かず返品されるなか、価格を拘束しない「第2の市場」を創設して本の復活をはかるのが狙いだ。

 それでも本格運用を始める背景には、市場の縮小と膨大な返品量に業界全体がもたなくなるという危機感がある。昭和図書の推計では、書店で売れ残って出版社に返品される書籍は年間5億冊を超え、そのうち約2割の1億冊が断裁処分になり損失は820億円に及ぶ。断裁するぐらいなら値引きしてでも読者に届けようという発想だ。

 同サイトでは絶版本の割引販売もしており、大竹社長は「『定価販売以外は駄目』という考えにこだわりすぎると業界全体が落ち込むばかり。将来的には1000万冊、40億円ぐらいの市場を目指したい。売り上げを新刊発行の原資にまわせれば、不況克服の一助にもなる」と話す。


出版業界がようやく在庫の問題に目を向け始めた。その第一歩としては評価できるニュース。
でも、方法としてはどうなんなろう? 少々疑問に思う。
これ、新刊書店には、なんのプラスにもならないよね?
今取り組むべきは販売力の強化だと思うんだよ。もっというと、リアル書店の強化。
在庫を減らすために、捨てるのではなく売ることを選択するのはいいと思うんだけれどね。書店が今までと変わらないなら小手先の効果しか望めないんじゃなかろうか。今までのやり方だと在庫がたまってしまうので、今までのやり方はそのままに、別の経路で在庫を売りさばきます、というのはなぁ……
本来なら書店の販売力を強化することで、在庫の解消を図るべきだと思うよ。そうしないと、今後につながってこないというか。その手助けになるような施策をとるべきだと思う。
「この本は再販契約から外しますよ〜」という商品群でも設定したり、「この分はバーゲン用の割安商品だから仕入れてもらえませんか?」ということをやったほうがいいように思うんだけれども……


もうひとつ、この記事のブックマークコメントで、このようなものがあったのだけれど……

seabose 売れない事には理由があるわけで。送り手自らが商品の価値を放棄して市場にばら撒くのはどうかと。ゲームの廉価版は消費者には喜ばれたが「待てばいつか安くなる」という風潮を浸透させてしまった罪もあると思うが。

これを読んで、ゲームとに違いについて考えてみた。
ひとつ、ゲームと本で大きく異なる点があって、ゲームについては、廉価版が出なくても値下がりはしていくのよね。っていうか、売れ残りは値下げしますとも。置き場所にも限りがあるし、在庫には税金だってかかるし。そうしないと、売る側のこっちもたまったものじゃないし(笑)。
以前、ゲーム業界で中古品販売を規制しようという動きがあったけれども、あれのどこが滑稽かというと、新品ゲームだけ商っていたのでは、利益率が低くてとてもとてもやっていけないところにある。利益を確保するために中古販売をしている側面も強いというのに、その利益に枷をはめられてしまったら、そりゃあーた、家電量販店ぐらいしかゲーム売るところなくなるぜ(笑)。
そういった販売経路の縮小をも容認する形で、こういった主張がなされているわけでもなかろうしなぁ。


で、本なんだけれど。本がまさにそういう状態? 利益率の低い商品を半強制的に商わされているというか。今、古本・新古本を新刊書とあわせて販売する動きがちょこちょこ出始めているけど、これってまさに利益を確保するためにやっているわけで。
利益率を改善したり、在庫状態を改善したりするために新刊書店が従来の枠内で取れる方法は、極端に限られてしまっていると思う。待っていたって出版社も取次も助けてくれないのだから、自衛のためにそういった動きが出てくるのはいたって当然のこと。
本来なら書店と出版社は運命を共にする部分が多いと思うのだけれど、ここでまた出版社が自分たちだけで値下げ販売をはじめちゃってさ、そうなったら、書店はますます自衛するしかないわけじゃない。
新刊書店が自衛のために古本に手を出すというのを容認した上での施策じゃないわけでしょ? でも、こんなことばっかりやってるとますますそういった動きは広がっていくよ? まあ、私自身はその方が良いと思っているけど。
出版業界が新古書の販売経路のこれ以上の拡大を望んでいないのなら、リアル店舗での改善を意識しないと無理だって。新古書店や図書館やネットカフェへのネガティブキャンペーンばかりやっていたって、「燃やされた方がまし」とか言っていたって、そんなものなんのプラスにもなりゃしないんだ。