万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

購入時のレシートがないと買取不可ってことにすれば良いじゃんというご提案について

ダンボー姿も凛々しいid:kongou_aeさんから、トラックバックを戴きました。

この窃盗対策はどうなんですかね?新古書店さん - 60坪書店日記

購入時のレシートがないと買取不可ということにすれば、間接的な窃盗対策として有効なのではないかというご提案なのですが、ちょっと実効性が低いと思います。新古書店的には、対応することが非常に困難です。
なぜかと申しますと、理由は二つ。


まず、kongou_aeさん自身、この方法の二つの問題点を挙げてらっしゃるのですが、そのうちの一つ目「問題点1 全てのレシートが商品の購入を証明するわけではない。」というのが、kongou_aeさんが思っている以上に大きな障害となります。
えーとですね。

当店はPOSレジ使ってないんだけど!とか思ったそこのあなた!そんなのシラネ。


いやいや、そんなこと言わないで! 新古書店の大手は、ブックマートは行ったことないから知らないけど、ブックオフも、古本市場も、ブックマーケットも、本については単品管理を行っていないんですから!
つまり、新古書店に持ち込まれる本というのは、新刊書店で買われたものばかりではなくて、新古書店で買われたものも多いわけですよ。買取った本に、あのブックオフの剥しにくいことこのうえない値札が貼られていて泣きながらそのラベルを剥す(で、失敗してカバーを破いてしまって廃棄する)という経験のない新古書店員はいな……あ、ブックオフの人だったら上から自分のところのラベル貼っておしまいか。羨ましい。
話を戻しますと、新古書店で購入した本については、例えばですが「コミック 200円」といった表記しかなされていないわけで、バーコードを通すわけでもないので単品管理もしていないわけです。
だったら新古書店も本の単品管理をすればいいじゃん! とか思ったでしょ? いやあ、それが実務上そう簡単には。いずれはその方向に行くのかもしれませんが、私の会社で「古本を単品管理する」という話が出てきたら、すくなくとも私は猛反対しますね。
その理由は、買取があまりにも煩雑になるからです。
あくまで私が今まで勤めた経験上の話になりますが、まあ、一日に1000冊から3000冊くらいの本を買取ることも多いんです。土日祝祭日はもう鉄板で。
古本の単品管理をするとなると、その買取った本をレジでスキャンする作業が発生することになるのですが、いや、さすがに一日に千冊以上の本をスキャンするのはオペレーション上、無理。いまでさえ終末のピーク時には買取一時間待ちとか普通にあるのに。


二つ目の理由として、まあ、これも言ってみれば買取が煩雑になるから、なのですが、持ち込まれた本とレシートの照合作業に非常に時間がかかることが予想される点です。
十数冊程度ならそんなに問題はないんですが、一度に百冊以上の本を持ってくる人って普通にいますし、数百冊ってのも珍しくありません(週に何件かはかならずありますね)。私自身、一人で約1200冊の査定をするという、地獄のような体験をしたことがあります。
まあ、仮に200冊持ち込まれたとして、その200冊が一度に購入されたなどということはありえないわけで。一緒に持ち込まれる購入時のレシートの数は数十枚とか百数十枚とかになるわけです。
となると百数十枚のレシートと目の前の本を見比べて、抜けがないかどうかチェックする作業が発生するわけで……いや、考えただけで気絶してしま




……はっ!?
すいません。気を失っていたようです。
えーと、そうそう。そんな理由で、購入時のレシートがないと買取り不可っていうのは、買取時の作業があまりに増えすぎてしまうので、ちょっと対応できないです。




追記:id:myrmecoleonさんより以下のようなブックマークコメントが入りました。

新古書店からの本は一目で書店万引きじゃないと分かると思うんだが。怪しいのだけ見抜いたりもできないんだろうか。レシートについても同様の話。盗品じゃないぴかぴかの新品ばかり数百冊持ち込まれることあるかな?

・新古書店の全ての本に値札が貼られているわけではない。また、高額の商品(まさに窃盗の的になりやすい商品)で、シュリンクした上で値札を貼るような場合も同様。また、値札を剥した場合は? 以上の点により、持ち込まれた本が新刊書店から買われた物か新古書店から買われた物かを断言することは困難である。言い換えると、いくらでも言いぬけることが出来る。

・私の業界は「新品同様の本を中古で売っている」と揶揄される業界であり、持ち込まれる本もぴかぴかの物も多い。また、そういった商品は市場に流通してからそれほど時間がたっていない商品(まさに窃盗の対象になりやすい商品)であることが多く、一番対策をしなければいけない商品群に対して、本の状態によってそれが新刊書店で買われたかそうではないかを弁別することが困難である。

・盗品じゃないぴかぴかの新品ばかりが数百冊持ち込まれた経験、私自身数回だけある(まあ、もちろんそれが盗品ではなかったというのは推測に過ぎないけれど、「それも盗品だったんだよ」ってのはなしね。私だって持ち込まれた商品のみならず持ってきた様子や頻度や同行者、色々みて総合的に推測している)。また、それらの商品が新刊書店で(中略)新古(中略)言いぬけることが出来る。

・で、「怪しい奴だけ抜き出す」のは結局店員の「勘」頼り? それだったら現状と変わらないし、怪しいと判断した人に上記のような言い抜けをされたら? 窃盗するような性根の腐った奴はそれくらいしますよ? それも断るべきだというのなら、ウチらのリスクは今までと大して変わらない。今だって、あまりに怪しいものは勇気を出して断ってますよ。


というような具合で、それ、いくらでも言いぬけることが出来るザルみたいな対策です。実効性があまりに低い。
そんな役に立たないもので私の残業を増やさないでやってください。
これがRFIDの確認作業というんだったら、手間はかかりますがやるべきだと思いますがね。実効性、高いし。
ヤクザやヤンキーの相手をするなんて日常茶飯事だし、窃盗をめぐって人死にだってでている問題なわけですから、あまりリスクを過小評価しないでいただきたい。