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万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

本屋や出版社がランキング依存・ベストセラー依存から脱却するなんて、無理だろ、JK/まあ、クローズアップ現代は見れなかったわけですけどね

現在の書店・出版についてクローズアップ現代で取り上げられたそうで、そのことについて少し話題になっているようだ。
本の買い方のリテラシー - 【海難記】 Wrecked on the Sea
今日の「クローズアップ現代」 - 空想書店 書肆紅屋
クローズアップ現代 ランキング依存が止まらない、見たよ - finalventの日記
クロ現の「出版不況」を視た - The best is yet to be.

ランキング依存、ベストセラーへの依存について問題視した内容だったようなのだが、残念ながらクローズアップ現代は未見なのだな。その時間は思いっきり働いていた。
で、肝心の番組を見ておらず、その番組について取り上げたブログを読んだだけの状態の旅烏さんがお送りしますよ、と。


まず、ランキング依存は悪いか否か、ということなんだけども。現在の状況では至って当然のことだと思う。
ていうか、値入率が大して変わらないんだったら、高回転の商品を売った方が得に決まっているじゃないか。
はい、終了。


ああ、わかってる、わかってますって。本読みの皆さんはランキングなんかじゃ満足できないんでしょう? かくいう私だって、欲しいなと思う本はランキングに縁がないようなものがほとんどだ。
確かに、色んな本が並んでいた方が、在庫に多様性があった方が、本屋さんっていうのはずっと楽しいわな。
だもんで、従来のランキング以外の情報提供で「売れる本」を仕掛けていく手法を取るべきだ、みたいな話が出てくるのは当然の話で、上にリンクしたエントリでも仲俣暁生さんやid:rajendraさんがそういった線での提案をしている。
ニコニコ動画に例えると、出版業界はランキングばかりじゃなくて、新着動画*1やタグも実装してくれよ、といったところか。
で、それによって業界がベストセラー依存・ランキング依存から脱却できるかというと、かなり懐疑的だったりするのだな。だって、高回転の商品をたくさん売った方が効率よく儲かるっていう構図自体に変更はないんだから。
え、そんなの、他の商売だって同じだろうだって?
いやいや、とんでもない!


私は今現在、何の因果か新米新刊書店員なわけだけれど、その前にホームセンター業界と新古書店という二つの業種を経験してきている。
で、その二業種とも、高回転の商品とはまったく別の商品群で、利益を確保しているんだな。
ホームセンターでよく売れるというと、やはり日用品ですか。それも洗剤やらトイレットペーパーやら、スーパーとかぶるようなやつ。値下げ競争のターゲットにもなっており、んなもん、売っても売っても利益なんてでやしねぇ。
でも他にも色々な商品が置いてあり、そちらの方で利益を確保しているわけで。一般に回転率が悪い商品は原価率も低くなっている。
例えばセメントに混ぜる砂とかさ、肥料に使う鶏糞とかさ、あんなの、どう考えたって原価高いわけないでしょ(笑)。
でも日用品ほど高回転ではないけれど、確実に需要がある商品なわけで。そういった商材をきっちり売っていくことが、商売をしていく上で、利益を確保していく上でとても重要なわけだ。
新古書店についてもそうで、「出版界の敵」みたいな文脈からは新古書店も高回転な新し目の本・ベストセラー的な本に依存しているように誤解されがちなんだけれども、そういった本は買い取り価格も高めに設定していたりするわけで。そんなもん売っていても利益なんて(ry
今ではもうちょっと古くなってしまった、買い取り価格も安い、高回転でもない、けれどもまとめて持っていれば確実に需要がある普通の本をいかに売っていくか、というところで利益を確保している。
つまり、ランキング化したら花形とは言い難いけれども、確実に需要が見込める、利益率も高い商品を売っていくことで成り立っているわけだ。


転じて新刊書店では? 新刊書店でももちろん、ランキング的な注目は浴びないけれども、確実な需要を見込める商品というのは存在している。
じゃあ、そういった商品群が利益の点でも重要かというと、わはははははは!
そうじゃないからランキング依存とか言われる状況になってるんだって!


言い換えると、ロングテール的な商品とランキング的な商品、それぞれ単体で見てみて利益的な魅力が双方変わらないのなら、ランキング的な商品に重点が移るのはいたって当たり前の話で。
そうすると原因は値入率ってな話になっていくのだけれど、まああれだよね。ここら辺、出版社は自分らで小売価格設定してうまいこと利益を確保もできるんだろうが、書店はそうもいかないわけで。
そういう状況に目をつむったまま、出版社は新刊ラッシュに突っ走ってきた。
まあ、ふざけんなって話だよなぁ(笑)。


高い利益がとれる、廉価版の書籍の市場開発にもっと力を入れていけばいいのに。いや、本当に。
そんな安っぽい作りの本は読みたくない、という方は従来通りの本をご購入いただいて。
それとは別に、もっと安定した利益の取れる商品群を設定していく、ということをしないと、ランキング・ベストセラーからの脱却なんて無理だろうな、絶対。
というわけで、現状では無理だろ、というのが結論。わはは。


追記:参考に追加しますよ。

ランキング依存? - たったひとつの饐えたヤりかた
クローズアップ現代「ランキング依存が止まらない〜出版不況の裏側〜」 - すべては己の限界を見極めるために(仮)
出版不況を考える - 空想書店 書肆紅屋

*1:網羅的なものね