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万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

ありむー乙の件について

ぼくの描いたこなかが絵がニコニコ動画に無断転載された話 - E.L.H. Electric Lover Hinagiku

まず最初に、id:y_arimこと有村さん。馴れ馴れしく「ありむー乙」などと書いてしまって申し訳ない。いや、このフレーズが気に入ってしまって、どうしても使いたかったのです。


さて、なんかいい具合に議論が沸騰したり煮こぼれたりしている上記エントリのコメント欄・ブクマコメント・派生エントリであるけれど、ちょっと整理したくなってこのエントリを書いている次第。

起きた事柄を整理すると

・有村氏が原作の権利者に無許諾でらきすたのイラストを書いて公開

・さらにそれがニコニコ動画に他の人のイラストや楽曲と一緒に無許諾で転載

・有村氏はごく個人的な理由により自分が書いたイラストの無断転載については特に権利を行使しないことを表明

と、以上である。シンプル!

話がややこしく見えるのは、「権利」という言葉の取り扱いに、各人の間でずれが生じているからではなかろうか。
ふたつポイントがあるように思う。

・有村氏は権利者の一人に過ぎないこと

問題となった動画では有村氏以外の方が書いたイラストも転載されていたり既存の音楽も使われていたりするという意味でもそうだし、有村氏が書いたらきすたのイラストに限定しても同様である。二次創作であるのだから、権利は原作の権利者も持っている。有村氏がらきすたのイラストを無許諾で書いたからって、そのイラストに対して持つ原作の権利者が持つ権利がなくなるとか無効になるっていうわけじゃない。
あくまでこのイラストの使用についての権利となると、有村氏は原作の権利者と同等の法的権利を持つ。


・有村氏は作品の使用を「許諾」したわけではなく、現時点での権利行使をしないと表明したにすぎないこと

それでもまあ、原作の権利者を差し置いて二次創作のイラストの使用を許諾したとなれば、法律とはまた別に道義的な問題として非難をうけるというのはあり得ると思う。
しかし、有村氏は「許諾」はしていない。言い換えると、別に今からでも削除を要求することは可能なのね。



さて、コメントとか見ていて思ったのは、一般的な意味での「権利」と法律の上での「権利」という言葉がごっちゃになってしまっていて、混乱を招いているなあ、と。で、有村氏に「今のところ私は権利を行使しないでいようと思う」という権利はあるんだよ、もちろん。
で、それに対して「私はそれはよくないことだと思う」という事柄を言いたい人が「あなたにはそんな権利はない」みたいな言葉を使ってしまうから、一見ややこしく見える。著作権的な文脈で使われる「権利」という言葉と、道義的な文脈で使われる「権利」という言葉を混同しないようにして見ていく必要がある。


もうひとつ、一次の権利者が二次創作の権利者の上位に位置するという見方を持っている人が案外多いのかなと。
二次創作の作品に対しても三次創作の作品に対しても権利を有するという点では、確かに一次の権利者はより多くの権利を有しているとは言えるわけだけれど、二次創作作品のさらなる利用許諾という点に限定すると、一次の権利者と二次の権利者は同等の権利を有する。どっちが上とかないのね。
だから、自分が作った二次創作のさらなる利用について、有村氏が「原作者を差し置いて」何か言ったとしても、本来は非難されるいわれはない。
まあそうはいっても非難したくなるのが人情なんだろうけれど(ましてや二次創作イラストが無許諾だっていう負い目もあるだろうし)、加えて、有村氏は原作者の判断より先に進んだ判断をしているわけでもない。許諾も削除請求もしていない。今のところ原作の権利者と同じ行動をとっているわけ。


有村氏の見方に穴があるとするなら、それは二次創作イラストに対する権利の不行使ってのが、その大多数は「好意的な黙認」によるものであるという分析を、自らのイラストにまで拡大してしまっている点だろう。
だからこそ

これらのごく個人的な理由により、ぼくは今回、rRWTcrMQTQ氏を不問に付すことにした。「好意的に黙認」するのである。

という具合で、一次の権利者が行っている(であろう)「好意的な黙認」という言葉をわざわざカギカッコ付きで用いて、自分は(自分の書いたイラストの自分以外の権利者であるところの)一次の権利者と同じように行動することを表明したんだと思うんだ。
ただ、有村氏のイラストが「好意的に黙認」されているかというと、別にそうとは限らない。
有村氏が原作の権利者の意に反した判断をしているという道義的な批判を受けるとしたら、この点のみだと私は思う。
原作者の利益を害しているという批判については、むしろどのような利益を害しているのかと聞いてみたい。キャラクターのイメージが崩れるってんなら、そりゃ原作者の意に反しているんだよ。