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万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

よしもとばなな氏の事例にみる雪だるま式クレーム

よしもとばななさんの「ある居酒屋での不快なできごと」 - 活字中毒R。

はてなブックマーク - よしもとばななさんの「ある居酒屋での不快なできごと」 - 活字中毒R。

いやぁ、上記のエントリ。私もよしもとばなな氏に批判的なブックマークコメントを残したクチでしてね。どこが酷いと思ったかというと、よしもとばなな氏の自己正当化の部分なのだけれども。まあ、それは置いておこう。
ブックマークコメント100字でバカ呼ばわりされるのもゲンナリするので、じゃあもっと字数を使って思うところを書いてみようか、と。
ただ、批判、ではなくなりますわな。この件で私が批判したいと思ったのは上記自己正当化の部分のみなので。




クレームって、こういう風に起こるよねえ、そうだよねえ。といった「うんうん、わかるわかる」的なね。
クレームというのは、もちろん店側の落ち度が重大なものもあれば、お客さん側が悪質なものもあるのだけれど、よしもとばなな氏の件で言うと、そのどちらでもない。一番ありがちな「些細な事柄なのに、対応がまずかったせいで膨れ上がってクレームに発展した」というケースですわな。
これがねえ、我が身を振り返ると身につまされるというか。客商売やってればクレームってのに遭遇しないわけがないのだけれど。後から「ああ、あそこはこうしておけばよかった!」的な後悔がそりゃあもうひしひしと。まあ、それが経験値なわけですが。
そういった後悔的な視点で店側の対応を振り返ってみると、こうすりゃあよかったのにな、という点ってのがいくつかあるわけでして。
まず、バイトちゃんは独断で動くべきではなかった。
ここがいきなり、あまり良くないですわな。店長にばれずに最後までいければ丸く収まるんだろうけど、店長が見つけたら「ん? あれはなんだ?」となるに決まっている。そしたらそこからトラブルになるに決まっているわけで。そこまで先読みして動けなかったってのは、褒められることじゃない。
逆に、そういう動き方を教育できていなかったというのは、店全体の落ち度。
最悪なパターンとしては、見つけた時点で声をかけて「さっき他の店員にいいと言われた」というパターン。その点で言うと、叱責の声が客席に聞こえたというので隠れてしまっているけれど(これは確かにまずい)、まずスタッフに事情を確認してから対応を考えるというのは、あながち悪くもない。

で、その後の対応だけれど、言っておくけど、「説教」という表現に引きずられている人が多いみたいだけどさ。どこからどこまでが「説教」で、どこからどこまでが「お願い」かなんて、主観で決まる問題だからね? ここは藪の中だ。

実際にこのケースでは持ち込みを許すべきであったかどうか、というのはもう、どっちが正解でどっちが不正解という性質の事柄ではないですよ。結果として丸く収まればいいのであって。いろんなやり方があるし、いろんなやり方が実際に指摘されているし。
私に飲食店勤務の経験はないけれど、一般論として社内のルールに抵触する行為を要求された場合、自分だったらどう対応するか考えると……そうさなぁ、今回限りという約束をした上で黙認するか(二回目以降が確認できた場合は明確に断るだろうけど。まあ、これが一番手っ取り早い)、要求されているのとは別の点での譲歩を提案するか、だなぁ。想像だけれど、持ち込みのワインをしまってもらう代わりに、お邪魔したお詫びで何か一品サービスする、みたいになるのかね? 繰り返すが飲食店勤務の経験はないので、見当はずれだったら申し訳ないけれど。
ただ、断固として断るという対応も不正解ではないし、実際、それで処理できてしまうスキルの持ち主ってのも存在するんだよ、この世には。すごいなぁと思うが。


話を戻して。
例えば断るにしてもワインをあける前に「申し訳ありません。実は当店では……」と店長が入っていたら成り行きも違ってきただろうし、何らかの譲歩を示していれば違ってきただろうし、もっと単純な話として、店長がばなな氏御一行に話しかけた最初の一言が、実際に発した言葉と別のものだったり、その表情が別のものであったりしたら、成り行きは全然違っていたかもしれない。
言い換えれば、クレームというものの多くは、いくつものチェックポイントの切り替えを間違えた末に、不満が膨らんで生じるわけで。いくつもの選択ミスの果てに生じる。
また、喧嘩上等な態度で乗り込んでこられたお客さんだって、お話をお伺いして、またこちらからも話しているうちに、納得して帰っていただけることだって少なくない。そして、時には強気にでなければならないとき、というのも確かにあったりする。

この店は、チェックポイントの切り替えを間違えたことには違いない。違いないのだけれど、対応のどこか一点とか二点を持って批判するのは、どうも違和感があるのね。
その理由は、ひとつはこのケースでの店側の対応というのは、「藪の中」的なものであり、情報量が少なすぎるから。
もうひとつが、クレームというのは細かな対応ミスの積み重ねで生じるという、本文中で書いてきたような認識によるもの。
だから、私が店側の対応を批判する時が来るならば、それはもっと情報量が多くなった時、もっといくつものチェックポイントが明らかになった時、になるだろうなぁ。


ついでに。
私、よしもとばなな氏の行為自体については、特に批判する気はない。
というか、そういう人は他にもたくさんいるんだろうし、店にしてみればそれは観念的な善悪ではなく実際に対処すべき問題なわけだし、問題に腹立てても仕方ないでしょう。場所によってはOKなんだろうしな。