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万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

日経新聞電子版は新規購読者を開拓しないのではなかろうか。

日本経済新聞電子版の価格設定から透けて見える日経のホンネ - A Successful Failure

こちらのエントリで、id:LM-7さんがダン・アリエリーの「予想どおりに不合理」を引き合いに出して、日経の戦略を推測してらっしゃいます。
「予想どおりに不合理」は大変に面白い本だったので、是非皆さんにオススメしたいのですが、それはさておき、一箇所、見落としと言うか、エントリでは触れられていない部分がありましたので、それについて書いておこうかな、などと。
「予想どおりに不合理」で触れられていた「エコノミスト」の例では、以下の三条件がユーザーに示されます。上記リンク先から引用させていただきますと

1. ウェブ版だけの購読($59)
2. 印刷版だけの購読($125)
3. 印刷版とウェブ版のセット購読($125)

今回の日経新聞電子版では、示されるのは以下の三条件です。

1. 日経Wプラン(宅配+電子版):月ぎめ購読料 (3,568円/4,383円)+1,000円
2. 電子版月ぎめプラン:月額4,000円
3. 電子版登録会員(特ダネ+見出しのみ):無料

異なるのは「無料」の項目の存在です。
他ならぬ「予想どおりに不合理」において、ダン・アリエリーはゼロコストのコストについて、言い換えると「無料」という項目が予想以上に私たちの判断・意思決定に強い影響を及ぼすことを論じています。
アリエリーはいくつもの例を出してゼロコストの魔力について論じていますが、ネットユーザー的には以下の例が一番わかりやすいでしょうか。

1.無料でAmazonギフト券10ドル分をもらう
2.7ドルだしてAmazonギフト券20ドル分をもらう

もちろん、得なのは「2」の方です。ところが著者たちがショッピングモールで実験してみたところ、多くの人が「1」の条件に飛びついたとか。
つまり「無料」のものはそれが「無料」であるが故に、有料である他の選択肢よりも魅力的に見えてしまうケースがある、ということです。
日経の場合、いわば限定された電子版が無料であるわけですから、むしろネットユーザーはそちらの方を選択してしまうことが予想されます。
つまり、ネットユーザーから新規有料読者層を引っ張ってくる効果は存外に低いであろう、と。
逆に、既に日経新聞をとっていて、普段ネットにはあまり触れないという人にとっては「3.電子版登録会員(特ダネ+見出しのみ):無料」の選択肢は提示されていないも同然ですから、「1」の条件と「2」の条件が比較され、「1」が選択される、ということも多々あるでしょう。
日経新聞の狙い所はわかりませんが、結果として「新規読者はあまり開拓できない。既存の読者の枠内で電子版も買う人が増える」となる可能性が高いのではないかな、などと愚考する次第であります、はい。

予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

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