万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

電子書籍・電子積読・20年前のファイル・電子貸本や電子図書館

昨日からつらつら考えていることがあって、まだまとまっていないのですが、書き出してみようかと思います。

まず、我が家には購入したものの未読のまま積んである「積読」という奴が、かなりあります。多分1000冊以上。
多分、実家にはもっとあります。
良い子の皆さんは真似してはいけません。Don't try at this home! という奴です。


これらは、学生時代から本を無節操に買い続けてきた結果でありまして。
いよいよ症状が悪化したのが大学生になってからです。私も先日35歳になりましたので、15年強くらいの時間をかけて、この有様になってしまったわけです。

皆様ご存じのとおり、最近は電子書籍が注目を集めておりまして、商品として提供されているものの他にも、自分で本を裁断してスキャンすることを「自炊」などと呼ぶらしいですな。
個人的には、場所の節約にはなるものの本を読む時間が増えるわけでもないので、極度のめんどくさがり屋の私が「自炊」に励むことはありそうにないのですが。
程度の差こそあれ、私と同じような病を患っている、もしくは同じような性癖を抱えている人は、おそらく年齢に関係なく存在すると思うのですが、若い世代の患者にとって電子書籍という新たな選択肢は、場所の節約という点で随分と役に立つことでしょう。一人暮らしだというのに荷物が多いせいでワンルームに住むことができない、などということはなくなるのです。
かくして、部屋に残るのは、20年かけて降り積もった本の山と、20年かけて降り積もったファイル、であります。

20年前に購入したファイルを開くことは、どのくらい簡単な、或いは難しいことなのでしょう?
これ、実は世界中の大多数の人がいまだに遭遇したことがない問題です。
まず、それが自前で電子化したものであったり、DRMフリーであったりした場合。
それは20年前によく見かけた形式のファイルを開けるようなアプリケーションが簡単に手に入るか、という問題になります。もし20年後にMP3が過去の遺物になっており、容易に再生できなくなったりしていた日にはもう涙目でありまして、きっと「ざまあwwwCD厨乙wwwwwwww」とか言われてしまうんですよ。
なんらかのDRMが施されたファイルである場合。
それは、20年後もそのDRM形式に対するサポートが行われているか、または、時代遅れとなってしまったそのDRM形式をクラックする手段が簡単であるか、という問題になります。普及しなかったのでとっととサポートが打ち切られてしまったDRM技術というと、CCCDが真っ先に思い浮かんでしまいますが。
そのファイルが特定のデバイスやビューワー、特定のブラウザ等に特化したものである場合には、困難の度合いはものすごいものになる予感がします。今、「ポートピア連続殺人事件*1をプレイしようとすると、すごい手間がかかる、みたいなイメージが浮かんでしまいます。携帯用のゲームでリメイクはされているみたいですが、いや、やはりヤスはかっくかくの線画じゃないと、気分が出ないというものではありますまいか。
今使っているPCなり携帯端末なりスマートフォンなりタブレットPCなりを20年間とっておけば、20年前のファイルを利用するのも簡単でしょうが、うーむ。
やはり「20年前に買った『本』を手に取る」というのは、相当に簡単で手っ取り早い方法であるのだな、と。リアル書籍の優秀さというのは、こんな面でも出てくるものなのかな、などと。


検索してみたら、カレントウェアネスの調査を知りまして。
3.3.1 電子書籍保存の現状と展望 | カレントアウェアネス・ポータル
知識や情報の集積といえば、図書館のお家芸ではないですか。すっかり失念しておりましたが。
20年前のファイルを利用することの困難さを克服しようとする組織、またはそれを要求される組織があるとしたら、それは図書館でありましょう。
ファイル形式やらなんやら色々しっちゃかめっちゃかなまま、ともかくも状況は転がり始めてしまっている中、電子書籍の内容まで収集・利用の対象とするというのは相当な困難を伴うだろうなというのは、容易に想像がつくわけですけれど、それでも希望を託すとしたら図書館以外に思いつかないのです。
レンタルモデルの電子書籍サービスというのもありますが、これはサービスの永続性という点で図書館に比べるとやはり不安に思えてしまったりもします。
というわけで

・20年間、電子書籍を読める形でとっておくのは、色々大変そう
・従って、電子積読って色々大変そう
・だから図書館頑張れ、超頑張れ

とか考えた週末でありました。
「紙」という優秀な媒体を手に入れてしまった書籍が初めて直面する、ハード乗り換え時の問題、という奴なのですかね。
音楽、映像、ゲームといったメディアでは、この手の困難さに対しては「大変そうだね。頑張ってね。売れそうだったら再発とかリメイクとかするから」という対応が標準的な物ですので、書籍においても同じような状態になるのだろうな、と頭ではわかっているのですが。


追記:国会図書館が動くようです。超頑張れ。
電子書籍も国会図書館に“納本”へ 11年度スタート目指す - ITmedia News
国会図書館、電子書籍や電子雑誌などの「オンライン納本」を制度化へ -INTERNET Watch