万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

「天冥の標3 アウレーリア一統」の間違ったあらすじ

というわけで、「男の娘は戦艦館長!? 3 天冥の標」を読了しました。

僕はサー・アダムス・アウレーリア。よく間違われるけど、歴とした男性。
世に名高い宇宙戦艦エスレルの少年艦長!
頼りがいのあるカレン・ミクマックとの禁断の(!)関係も好調。僕たちが組めば、太陽系に敵う海賊なんていないさ!

そんな僕たちの仇敵である海賊の首領につながる情報が思わぬところから飛び込んできたんだ。奮い立つクルーたち。もちろん、僕だって。
でも捜索する先には海賊の罠が待ちかまえて……えっ!? 何このオジサン! 助けてくれたのには礼を言うけど、僕たちについてくるってどういうことさ!?
ロマンスグレーの登場に、恋も宇宙も波乱のヨカン!? 絶好調の第3巻!

えーと、あらすじとしては、それほど間違ったことは書いていないはず……。
実際に書かれているあらすじはこうです。

西暦2310年、小惑星帯を中心に広がった人類のなかでも、ノイジーラント大主教国は肉体改造により真空に適応した《酸素いらず*1》の国だった。海賊狩りの任にあたる強襲砲艦エスレルの艦長サー・アダムス・アウレーリアは、小惑星エウレカに暮らす救世群の人々と出会う。伝説の動力炉ドロテアに繋がる報告書を奪われたという彼らの依頼で、アダムスらは海賊の行方を追うことになるが……。シリーズ第3巻。

おお、なんと硬派な。
実際、硬派なのです。
宇宙で白兵戦やっちゃうことを正当化するための「えいやっ!」という感じの設定や、小惑星帯に広がる人類の多様性のイメージ。徐々に形を成していくシリーズ通しての壮大なスケール感。そして少しずつ明かされ、また深まっていく謎。
それでいて、先にジョークで書いたみたいなあらすじが書けてしまうくらいに軽いノリも併せ持っているのです。ハヤカワ文庫から男の娘が主人公のスペースオペラが出るなんて、想像できた?
巻ごとに趣きが異なるこのシリーズですが、2巻「救世群」が重厚で悲劇的なパンデミックSFであっただけに、この軽さは嬉しい予想外。一服の清涼剤のようであります。
まさに変幻自在のこのシリーズ。先がますます楽しみです。

*1:アンチ・オックス