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万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

8月23日 第十一回 京の噺家 桂米二でございます@繁昌亭

落語

「京の噺家 桂米二でございます@繁昌亭」に行ってきました。
開場前、近くの天神さんの喫煙所でタバコをすい、そろそろ開場だと入口へ向かっていると、楽屋口と思しき方向へ向かってカートを引きながらシャキシャキと歩いていく雀松さんらしき姿が。おお、幸先いい。なんかラッキー。


桂鯛蔵…二人ぐせ
桂米二…遊山船
桂米二…質屋蔵
中入
桂雀松…片棒
桂米二…寄合酒


鯛蔵さん以外は事前にネタ出しされていたのですが、私、てっきり、米二さん自身が著書「上方落語十八番でございます」でも最初に師匠に稽古をつけてもらった大ネタだと書いてらっしゃった「質屋蔵」がトリなのだとばかり思ってました。
鯛蔵さん→米二さん「寄合酒」→米二さん「遊山船」→中入→雀松さん「片棒」→米二さん「質屋蔵」とくるものだとばかり。
ところがいざ入場してもらったプログラムを読むと、トリは「寄合酒」。繁昌亭の昼席や方々の落語会でも、比較的浅い出番で聞くことが多いネタです。そのネタをトリに持ってくるというので、逆にちょっと期待をしながら開演を待ちました。
米二さん、ブログやtwitterでチケットが売れていないと書いてらっしゃったのですが、いざ開演時間を迎えてみると、二階席もあらかた埋まっていようかという結構な入りに。


鯛蔵さんは色々な会で前座としてお見かけしますです。今日の「二人くせ」では、ちょっと尋常じゃない、身近にいたら確実に通報するレベルでの男の喜びようが印象に残りました。一番手が面白いと、その後もよりポジティブな気持ちで落語を聞けるので、鯛蔵さんはありがたい存在です。あと、笑福亭喬介さんとか、桂福丸さんとか。



お次が米二さんの「遊山船」。ネットでチケットが売れていないと書いたところ、繁昌亭まで足を運んでチケットを買ってくれた方がたくさんいたようだとのことで「書いてみなあきませんな」と(笑)。
色々と見当違いなことばかり言う男の善人っぷりがなんとも印象に残り、後味よく聞かせていただきました。サイズの大きな太巻きを食べさせられる舞妓さんがかわいそうだとやきもきする男が、もう最高です。



中トリが「質屋蔵」米二さんが羽織だけ着替えて再登場です。
枕で歌舞伎の四谷怪談を見たときに遭遇したアクシデントの話をふって、本編へ。先日、大黒町寄席へ行った時もトリで「質屋蔵」を聞いたのですが、同じ話題をふってらっしゃいました。以前口入屋を聞いた時も自宅で壁から外れかかったエアコンを担ぐエピソードを挿入し、同じ話が著書にも書いてありました。身近で遭遇した出来事を噺の中に取り込んでいってらっしゃるんですね。
先日聞いた時よりも楽しめたかも。初めて聞いたときより二回目の方が楽しかったというのも妙な話ですが。どこがどう違った、なんていうのは私の記憶力では指摘できないし、もしかしたらどこも変わっていない可能性の方が高いかもなどと思ってみたり。


中入後は雀松さんの「片棒」。以前聞いた時も爆笑しましたが、今日ももちろん。
父親をかたどったからくり人形が踊るシーンの、人形の動きの切れがいいこといいこと。
二人の兄に対するストッパーであるはずの三男坊が、ある意味二人に輪をかけた非常識な人物であることがよくわかる雀松さんの「片棒」はもう大好きです。
幸いなことに休みが取れたので、31日の雀松さんの会にも足を運べるのです。嬉しい嬉しい。



さて、トリの「寄合酒」。
これが素晴らしかったです。「寄合酒」って、こんなにボリュームたっぷりで爆笑できる噺だったのか、と。
金はないが暇はある男たちが色々と小狡いことをして食材を持ち寄ってくるこの話。私、小売業なんかやっているせいか、この手の落語に出てくるちょっとした悪事に眉をひそめてしまうことがあります。「壺算」とかも、追いつめられていく番頭さんの方に感情移入しちゃってかわいそうになってしまうことがあったり。いや、面白いし笑っているんだけれど、心の奥で何かひっかかるような。
ところが、今日の寄合酒はそんなこともなく、心の底から楽しめました。客観的にみると登場人物たちは結構えげつないこともしているんですが、根が善人とでもいうのでしょうか。
「遊山船」で、舞妓さんの姿にやきもきしてしまう男の善良さとも通底するのかもしれませんね。
鯛の鱗を取っている男の傍へ犬が鯛を狙ってやってきて、困った男が別の男に相談したところ「どーんとくらわせてやれ」。これを「今、調理している鯛を食らわせるのだ」と勘違いして犬に鯛をあげてしまう。その時の男の顔の、なんとも嬉しそうなこと。ああ、確かに小動物にエサをやるときって、妙に嬉しいかもしれません。
その嬉しい様子を、満面の笑みや言葉などのわかりやすい記号として表現するのではなく、「はい」という妙に丁寧で単純な一言と微妙な表情、微妙な仕草で表現してしまうというのが、またすごいというかなんというか。
なにより、この男にとっては「犬に一発食らわせてやる=危害を加える」という選択肢が、もう最初から存在しないのでしょうね。エサをやる時にもつい微笑んでしまう気の優しい人物ですものね。
普段なかなか聞くことができないくだりまでたっぷり聞かせてもらって、もう大満足です。


その後、果物が当たる抽選会。商品を舞台へ運ぶために鯛蔵さん再登場、桂二条さんも少しだけ登場。小玉のスイカと柔らかそうな桃でした。中には家族できてらっしゃってそれぞれに一つずつ当ったラッキーな方も。
当った方へ果物を届けるために、桂あおばさんと、噂のアフロ系女子である桂二葉さんも登場。なるほど。まぎれもなくアフロです。どこに出しても恥ずかしくないアフロです。こないだ最新刊が出た「海街diary」に登場する四姉妹の三女、千佳ちゃんみたいな。
私は当たりませんでしたが、家から自転車と地下鉄で1時間弱くらいかかりますから、当たらなくてよかったかも。荷物になりますし。
昔から「あのブドウはまだ酸っぱいさ!」とも言いますし。