万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

12月7日 笑福亭松喬ひとり舞台ファイナル 2日目

笑福亭松喬ひとり舞台ファイナルと題された、6日間連続の落語会。2日目に行ってきました。ABCホールに行くのは初めてだったこともあり、少し遅刻してしまった。残念。


笑福亭右喬……看板の一
笑福亭岐代松……ん廻し
笑福亭松喬……天王寺詣り
笑福亭鶴光……荒大名の茶の湯+寄席の踊り(奴さん)
中入
対談(笑福亭三喬・右喬)
笑福亭松喬……三十石


松喬師匠の筆頭弟子である三喬さん、楽日の開口一番しか落語の出番がないのに、毎日対談のために来てらっしゃるんですね。開口一番で三喬さんというのも、贅沢極まりない話ですが。
遅れてしまったため、右喬さんの落語は途中から会場外のモニタで見るのみ。何人か同じくモニタで見てましたが、横に座ってたおじさん、声を殺して笑ってました。
岐代松さんの高座から会場内へ。私の両隣、両方とも老夫婦。ご夫婦そろって落語会ですか。羨ましい限りです。出来るだけ末永く爆発しろ。リア充め。
結婚などとっくの昔に諦めている私はさておき、松喬さんの天王寺詣りを聞くのは二度目です。二人の間の抜けたやり取りでクスクス笑いを誘発されながら終盤。物売り店が立ち並ぶ様を描写するシーンで、一気に視界が開けたような感覚。それまで点として認識してたものが、一気に光景としてばぁっと広がるというんでしょうか。
鶴光さん、生で高座を拝見するのは初めてです。でも、録音や録画でおなじみのまくら。おおー、鶴光さんだ鶴光さんだ。
聞き上手にやらせ上手とお客さんを持ち上げた後、そんなお客さんの前では普段以上に実力を発揮できる。「いつもは松喬さんもあんなにうまくないんですよ?」と(笑)。
軽快に「荒大名の茶の湯」のあと、踊りのサービス。指先でリズムなんかとりながら見ると楽しい*1
対談では右喬さんの失敗のエピソードのオンパレード。笑いの量では、ここが一番多かったかも(笑)。100万円以上はするであろう師匠の時計をなくした時のエピソードが強烈でした。その直後に続いたちらし寿司のエピソードも。
そしてトリで登場した松喬さん「……弟子は選ばなあきませんな」と一言(笑)。船頭歌のところで少し声がかすれてらっしゃるような気がしてしまったのだけれど、それ以外は完璧な「三十石」。
天王寺詣り」にせよ「三十石」にせよ、上方以外では成立しえない、こてこての噺を、ほんわかした情緒とおかしみで聞かせてもらったという、カロリーたっぷりなのに意にもたれず後味が良い、みたいな夜でした。


実は、「天王寺詣り」も「三十石」も、苦手なネタなのです。ハイ。つまらないときはとことんつまらないというか。逆にいうと、この二つの噺がかけられた高座でとことんまで退屈してしまったことがあり、その時のネガティブなイメージが強く残っているというか。
そのネガティブなイメージを覆してくれたのが、松喬さんの「天王寺詣り」であり、先日聞いた雀三郎さんの「三十石」であり、と。今日の「三十石」も楽しかったので、私の中で「三十石」のハードルがどんどん高くなっていくわけですが、これはいいことなのか悪いことなのか。



落語会が終わってから、改めてプログラムを読んでみると、なんとも豪華ですね。映画のパンフレットみたいな立派なつくり。落語会のプログラムなんて、A4一枚が全然普通ですもんね。
初日が「はてなの茶碗」「質屋蔵」。そしてなんといってもゲストに仁鶴師匠(!)。
明日が「花筏」「百年目」(!)。ゲストに福笑さん。
4日目が「首提灯」「帯久」。ゲストに松枝さん。んで、私の好きな竹林さんに生喬さん。「帯久」も好きな噺だし、なんとも俺得な日なのですよ。この日も公休なので前売り券購入してあるのです。うふふ。
5日目が「二人癖」「らくだ」(!!)。ゲストに呂鶴さん。
楽日がゲストに鶴瓶さん。開口一番になんと三喬さん。対談コーナーは松喬師匠と三喬さん。松喬師匠の演目は「へっつい幽霊」と、これが初演となる「ねずみ穴」。上方に移植するに際して、柳家さん喬さんの助力を仰いでいるとのこと。おおう。さん喬さんから松喬さんにネタが伝わって行って、しかもそれが「ねずみ穴」って。すごいな。
先日、桂南光さんも同じく還暦記念の独演会で「ねずみ穴」をかけられたそうですが*2、談志師匠も亡くなられたし、「ねずみ穴」流行ったりするのかしら。


*1:しかし、寄席で踊りに遭遇すると、かなりの高確率で「奴さん」ですわな。(笑

*2:でも、数日後に放送されたテレビの特番では「ねずみ穴」じゃなくて同じ日にかけられた「骨つり」の方を放送したんだよな。くそぅ。