万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

文楽について最初で最後のエントリ

まずは参考リンクを4つ

資料1
「アーツカウンシル構想」「ミュージアム構想」についての提案

資料2
「施策・事業の見直し(試案)~市役所のゼロベースのグレートリセット~」

資料3
大阪市市政>文楽協会への補助金について>メールでの検討状況

資料4
文楽の事業分析と今後の支援についての考え方 2012 年 3 月 27 日 未確定版 2 大阪府市統合本部 特別参与 池末浩規


資料1と資料2をご覧いただけば分かるように、橋下市政では様々な支出を見直すにあたり、文化行政におけるアーツカウンシルの導入を掲げている。アーツカウンシルが査定・評価を実施し、それに基づいて税金が投入される。
そのため、「文楽協会」という団体への支出、という名目での補助金投入はなくなる。文楽協会という団体へお金を出すという形ではなく、文楽の活動の中で、アーツカウンシルが査定・評価した企画・公演に対して、企画・公演ごとに資金を出していきましょう、という新たな形への移行というのが、橋下市政の大前提としてあるからだ。
この点についてはいまだに誤解が(大手新聞社のサイト等においても)広まっているのだが、そもそもが「文楽がふがいない→補助金カット・および改革を要求」という流れではない。逆なのである。まず文化的事業への支出削減および効率的な運用のための新体制導入という大きな方針があり、文楽の現在の体制はその方針にそぐわないので改革を要求している、という流れなのだ。


資料3を見ていただけば分かるように、文楽協会の公演プロデュース能力の低さ、およびマネジメント方式への疑問というのが改革の対象として挙げられている。
文楽を伝えていくことや後進育成という事に関しては、私の能力を超えた議論であるのでここではマネジメント方式については立ち入らない。
プロデュース能力の強化を要求する(様々な指標で測ることが出来ようが、「観客動員数」もその指標の一つであることは同意いただけると思う)ということについては、ある意味筋が通っている。企画・公演単位での補助に方式を切り替えるわけだから、企画力の強化、公演の集客力の強化を求めるというのは不思議でもなんでもない。


さて、資料4を見ていただきたい。
公演日数の8割を占める本公演については、文楽協会ではなく日本芸術文化振興会が主催している。
つまり、大阪ではなく国がやっているのである。
これはどういうことを意味するか。
文楽協会(現在、大阪市が補助金を出している、すなわち大阪市が影響を及ぼすことが出来る団体)のプロデュース能力をいくら強化したところで、大勢には影響しえないということなのである。
つまり、大阪にとっておいしくないのだ。文楽の興行権を国から大阪へ取り戻す必要が生じる。そうじゃないとおいしくない。
であるから資料3の最後で池末参与は市長にこのような提言をしている。


できれば、市長から文化庁日本芸術文化振興会に対し、今後の文楽の保護と振興のあり方を協議していくよう強く働きかけていただけると、本質 的な問題に対する答えに一歩近づくと考えられます。


ところが、この働きかけが一向に可視化されてこない。報道もされないし、橋下市長のtwitterを見ても演出がどうとかいっているばかりで、橋下市政と文楽の両方をWin-Winにするには欠かせない要素であるはずのこの働きかけが、見えてこないのである。
見えてこないのであるから、されていないものと判断する(当たり前だ。すべてオープンにするって自分で言ってるんだから)。
この働きかけなしで、言い換えると公演日程の8割を占める本公演を補助の対象から除外する形でアーツカウンシル体制へと移行した場合、文楽協会は自らの主催する特別講演と地方公演で評価を勝ち取らなければならない。
大阪以外の土地での公演で大阪の高評価を勝ち取らなければならないのだ。これは至難の技なのではないだろうか?
以上の理由で、拙速な文楽への補助に関する方針の変更は反対である。まず、順序を踏む必要があるだろう。
文楽を「大阪」主導にしてからじゃないと、うまく機能しないのである。