万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

10月19日に落語を聞きに行った記録/テーマ落語会vol.6 こんなことになろうとは 結果最悪特集

遅れそうになり駅のホームからダッシュ。なんとか間に合う。補助席に着席。


繁昌亭夜席 テーマ落語会vol.6 こんなことになろうとは 結果最悪特集


たま…ペッパーラッパー
福笑…雨にぬれても
三喬…手水廻し
中入
生喬…須磨の浦風
福笑…便利屋さん



たまさんが「石段」ではなく普通の出囃子で登場。歌の入った出囃子。この出囃子、好きなんだが、「長崎さわぎ」で曲名あってるのかしら。でも羽織は着ていなかった。
台風の影響で、仕事で沖縄に行っている生喬さんの到着が遅れており、上手くいけばトリの時間に間に合う。いざとなったら三喬さんが二席……といったところで場内から拍手。その反応を見て「この会のDVD、(生喬さんには)みせられない」と(笑)。
噺に入る前に解説あり。元々は三金さんが「くっしゃみ講釈」を現代版として作り直したのネタ。それにさらにたまさんが色々手を入れたとのこと。
これがものすごく面白かった。たまさんには以前にも「ぼくは米朝一門」で腹筋ぶっ壊されたことがあったけれど、今日もそう。
講釈師がDJに変えられており、名前が「後藤一山」から「ゴー・トゥー・イッサン」に。また、その腕に「難波戦記」とタトゥーが彫ってあったり、まず第一声が「Hey Yo! いずれの山々谷々でも御馴染み深き~~」といった具合に「くっしゃみ講釈」のパロディが随所に入れられる。
また、極度に忘れっぽい男が忘れたことを思い出すきっかけが覗きからくりからピンクレディーに変えられており、コンビニの店頭でピンクレディーを何曲も歌ってみたり、まだゴー・トゥー・イッサンが出てくるまで時間から俺らも少し踊ろうかと、膝立ちの状態でダンスしたり、いざゴー・トゥー・イッサンがでてきたらレディ・ガガの「ポーカー・フェイス」を大阪弁に翻訳したらというフリップ芸を始めたり、また、捲った後のフリップが勢いが良いあまり舞台上に散乱したり、本当に楽しい。
ネットでよく見かける警句に「元ネタを知っていたらもっと楽しいのがパロディ、元ネタを知ってほしいのがオマージュ、元ネタを知られたくないのがパクリ」というのがあるけれど、まさしくこれはパロディ。

いわゆる前座、開口一番としては受けすぎなくらいに場内爆笑だったたまさんに続いて師匠の福笑さん。まずは生喬さん、無事に到着との報告。来なかったら三喬さんとギャラを分けることになっていたのに、着きよった、と(笑)。
前半で少しクールダウンしていた客席も後半になるとやはり爆笑。噺の展開自体は先が読めないものなのだけれど、個々のギャグは「くるぞ、くるぞ……来た!」という感じで、もう、たまらなくて。ニコニコ動画のタグでよく見かける「予測可能回避不可能」の笑いという奴。

続いて三喬さん。まくらで11月1日が新たに古典の日に制定されたことに触れ、でも落語は伝統文化には入れてもらえない。古典芸能・伝統芸能は1度や2度みただけではわからないものだそうで、その例として挙げられたのが「能」、そして「右喬*1」(笑)
前半はいつもの三喬さんのように、随所に独自の工夫・くすぐりを入れながら普通の「手水廻し」をやってらっしゃったのだけれど、謎の「手水廻し」はなんじゃらほいと大阪の宿屋へ出かけた後に驚愕の展開。なんと大阪の宿屋で「手水を回してくれ」と頼んだら、出てきたのは自分の村に行った男とは比較にならないほど更に「頭の長い」男という驚愕の展開。さらにその男が始めたのが、その長い頭をお客さんにこすりつけてアレする性的なサービスで、うわ、滅茶苦茶だ(笑)。どうしてそれが性的なサービスになるのかの理屈はさっぱりわからんけど(笑)。

散々笑って中入で一息。中入後、生喬さん登場。最初にまず、手水廻しは師匠の松喬さんにとって本当に大事な、思い出深い演目で、それをあんな……といったところで舞台袖から私服に着替えた三喬さん登場。三喬さんが下がった後は沖縄の顛末の話。東京の小柳枝さんや紙切りの正楽さんらと学校寄席で沖縄に行ってらっしゃったそうで。学校寄席の方が先に決まっていたけれど、それでも時間が間に合わないようだったらこちらの会を選ぶつもりだった。それを、あんな……ギャラ山分けにするとか…と泣真似をしたり。こちらもまくらからとても楽しい。
珍品「須磨の浦風」やはり生喬さんで2回ほど聞いたことがあった。こちらはサゲあたりまでは普通の展開だったのだけれど、サゲの近くまでいくと……涼しい浦風の代わりに詰められていた放屁をかいでしまった殿様がそれで「快感」に目覚めてしまい、という。
変態だーー!

最後はまた福笑さん。初めて聞く話だったんだけれど、「便利屋さん」という題名はどこへやら、途中から「女子プロレスを性的な目で観戦する男のドタバタ」という、予測もつかない展開になり(途中でプロレスを「スポーツ」ではなく「興業」としてとらえて熱く語る場面があったり。たまさんがプロレス好きなのは知っていたけれど、師匠譲りなのかしら?)、しまいにはリングへ上がった男がプロレスラーに技をかけられて快感にもだえるという……
変態だーーーー!!



というわけで、パロディ山盛り、伝統を変えることを恐れず、マイノリティを排除せずに笑いに転換してしまう、ものすごいパワフルな落語会でしたよ!

*1:弟弟子さんです