大阪美術倶楽部にて。
なに、この俺得な面子は。
笑福亭生寿……四人癖
笑福亭生喬……虱茶屋
桂米二……火事場盗人
中入
座談会(竹林・生喬・生寿)
笑福亭竹林……短命
桂雀松……口入屋
楽しかったわー。
もう、開口一番の生寿さんから、場内は笑い多し。なんともほのぼのした四人癖。
生寿さんの師匠であるところの生喬さんの虱茶屋、聞くのは二度目。動きの面白さは前に聞いた時と同様。老齢の芸者「冷奴」が登場するところでどっかん受けてましたです。
続く米二さんの「火事場盗人」は小佐田定雄さん作の新作。
今夜は旧鴻池本宅での「大美落語会」です。ここの第1回では私、「鴻池の犬」をやりましたなぁ。今日の私の演目は「火事場盗人」と言いまして、小佐田定雄先生作の人情噺です。笑うところはほとんどありません。でもエエ噺ですよ。
— 桂 米二さん (@jeeyan2) 2月 1, 2012
Twitterでは米二さん自ら笑うところの少ない噺とおっしゃってましたが、いえいえ、いざ聞いてみたら笑えるところの多い、でも泣かせる山場もあるという噺でした。現代的な視点ではちょっと無理のあるようなシチュエーションを落語のちょっとファンタジックな部分でカバーしたような。少女漫画の『愛してるぜベイベ★★』を時代劇にしたらこうなるかしら。
中入後、座談会。前回もそうでしたが、ネットでは書けないようなことで盛り上がってる(笑)。
竹林さんの「短命」。以前にも墨染そうぞう寄席で聞いたことがあったのですが、今日の方が楽しく感じられたかも。それは十二分にあったまっていて雰囲気のいい客席のせいかもしれないし、もっと単純に舞台の後ろの屏風の色彩のせいかもしれないし(笑)。でも、以前に聞いた時にはあまりそういった印象がなかったんですが、主人公の男がなんとも愛らしいというか。たったいま聞いたばかりの「短命」の話を試そうとする相手が無条件で自分の嫁さんというところに可愛らしさを感じたり。
竹林さんの「短命」は雀松さんに稽古をつけてもらったものだそうで。トリはその雀松さんの「口入屋」。これが素晴らしかった!
冒頭の口入屋の女子衆との軽妙なやり取りでの天丼から、店に来た女子衆さんを番頭さんが口説こうとする場面での、立て板に水かつ浮っついた様子、女子衆さんのハイスペックが明かされるところでの口上の見事さ、山場である深夜の夜這い決行シーンで挿入される、実にさりげなくもわかりやすい「膳棚」と「木山」とはどういうものでどういった配置になっているかの説明、闇の中を手探りで進んでいく動きの面白さ、突然にっちもさっちもいかない状況へと追い込まれてしまった男が自分の置かれた状況を次第に理解していく描写のおかしさ。
もう盛りだくさん。パーフェクトじゃないっすか。すっごい。いいもの見たわ―。
関東の落語ファンの皆様におかれましては、雀松さんの高座に触れる機会が多い関西の落語ファンのことを大いに羨ましがっていただきたく。
ごくごく簡単に言うと、「柳亭市馬さんと二人会でタイマンして一歩も引かないテクニシャン」ですからして。