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万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

去年聞いた高座の記憶を適当に振り返る

Twitterのログを眺めて、去年聞いた高座を適当に振り返ってみる。印象に残ったものを。


1月12日、動楽亭で遊方さんの「寄合酒」を聞いている。お客さん少なくて寂しい中、ものすごい熱演。こういう方は、もう、無条件に信頼する。


2月1日、大美落語会で雀松さんの「口入屋」。もう、全ての場面が面白い、パーフェクトな「口入屋」だった。私の中での「口入屋」の基準になっている。

3月2日、動楽亭昼席で紅雀さんの「始末の極意」……というか、「綾鷹」のCMが公開されてすぐの頃で、まくらでその裏話をたっぷり。喋りまくる鶴志さんに三喬さん、それを聞くわかばさんに紅雀さん、ひとりマイペースな雀松さん、といった構図だったそう(笑)


3月31日、「桂米二のここだけの噺」で米二さんの「千両みかん」。ものすごく引き込まれた。番頭がただ奮闘するのではなく、旦那、若旦那、みかん問屋の番頭、主人公の番頭、それぞれの思惑が絡み合った千両みかん。そうか、これはこう言う噺だったのか。
また、お土産で配られたみかんが、めちゃくちゃ甘くておいしかった。数日後、スーパーで普通のみかんを買って食べたんだが、がっかりした。


4月28日、「松喬試運転の会」にて、松喬さんの「崇徳院」。再び高座に戻ってきた松喬さんに鳴り止まない拍手。目頭をおさえてはった。闘病体験交え1時間くらいかけての「崇徳院」。


5月5日、動楽亭昼席、ざこばさんの「青菜」と米二さんの「くしゃみ講釈」。ざこばさんはもう動くだけで笑いが巻き起こる状態。「くしゃみ講釈」は復讐に燃える男がめちゃめちゃかわいらしくて憎めない。タイプは違うけれど、それぞれ「チャーミングな中年男性」をめいっぱい表現されていた。


5月25日、みとろ寄席にて春團治師匠の「皿屋敷」。旅館の大広間で、座布団敷いてゆったり三代目の皿屋敷を聞くとか、なんと贅沢な。
2011年も一度、繁昌亭で三代目を見ていて、その時は終演後、お客さんが「フガフガしてしもうてあかんな……」とか感想を言ってはったんだけど、この日はそんなことは一切なし。やはり、歯とか入歯とかの状態、コンディションって、重要なのだろうね。

6月8日、福笑独演会、福笑さん「桃太郎」。トリのネタが「桃太郎」って、なんかあるなと思ったら、やっぱりなんかあった。縦横無尽、脱線しまくり壊しまくりの桃太郎。子どもの語る桃太郎に感動して泣きだす父親とか、すっげえ。

6月9日、落語の定九日、九雀さん「淀の鯉」「慶応三年」。どちらも発掘されたネタ。「淀の鯉」とうとう鯉が出てきたときは「鯉キターーーー!!」てな感じで笑った笑った。「慶応三年」もかなり型破りなネタで、是非また見てみたいのだけれど、この後やられているのだろうか? 「淀の鯉」はこのあとテレビでも流されていたので確実だけれど。

6月16日、白酒ジャックⅢ、白酒さん「船徳」。正直、記憶があやふやなのだけれど、とにかく笑って笑って、こんな幸せでいいのだろうかと思ったことだけは強烈に覚えている。

7月7日、らくごらいぶ in GM-1、米二さん「菊江仏壇」。去年聞いた米二さんのなかで一番印象深いのはやっぱりこれかしら。若旦那に対して「あ、この人、ただの極道者じゃないな……」と思わされた時点でこちらの負け。また、「宿屋仇」みたいに、お囃子さんとの連携が重要なネタなんだなというのも発見。年末にさん喬さんの同ネタ(「白ざつま」)もCDで聞いたけれど、あのCDと比べるともう明らかにこちらが勝ち。米二さんが若旦那のちょっとした逡巡で表現したことを、さん喬さんは台詞で説明してしまった。また、なんとも辛気臭いのですよ、このCD……重さが勝って、素直に笑えないの。こんなブラックで楽しい話なのに。

7月14日、桂米二独演会、米二さん「栴檀の森」(「ふたなり」)。米二さんから稽古をつけてもらったという佐ん吉さんの同ネタを聞いたことはあったのだけれど、まさかリアルで噴き出すとは思わなかった。前の席の方、すまなかった。

8月11日、動楽亭昼席、円三さん「淀川」とざこばさん「文七元結」。円三さん、スマートで聞いていて心地よい高座。こういう立ち位置の人、上方ではいないんじゃないかなと思って考えてみたら、他でもない三代目春団治師匠がそうではないか。うおう。
ざこばさんの「文七元結」はこの時点ではめちゃめちゃ未完成。数日後に動楽亭に足を運んだ際、トリの松喬さんの後で登場し、再度「文七元結」そのときも全然納得いっていない様子で、終わった後高座に座ったまま反省。苦悩するざこばさんとか、すごい物を見た。

同じく8月11日、うえまち寄席、ちょうばさん「胆つぶし」。サゲの小さな改変が我が意を得たりというか、「そうなんですよ! このネタ、そこのところがモヤモヤしてたんですよ! そう! そうですよねーー!」といった高座。

8月24日、京の噺家 桂米二でございます@繁昌亭 福團治さん「借家怪談」。途中、声らしい声を発さず身振り手振りだけで爆笑をかっさらう。おおう、すっげえ。

9月7日、動楽亭夜席 鯛安吉日、鯛蔵さん「船弁慶」。もう鯛蔵さん、すごく弾けていて、めっちゃ楽しかった! こんなに弾ける人だったっけ? と認識を新たに。

10月6日、桂米團治独演会、米團治さん「くしゃみ講釈」。中入前のネタ「たちぎれ線香」の序盤で客席から急病人が出るハプニングあり。客席が抱える不安感。それを解消して欲しいという期待感。トリの「くしゃみ講釈」は座布団から飛び出す大熱演だった。

10月14日、動楽亭昼席、千朝さん「蔵丁稚」。この日も寂しい客席。重い空気。それを救ってくれたのがトリの千朝さんだった。ベテランが額に流れる汗も構わずに忠臣蔵四段目大熱演。

10月19日、繁昌亭夜席「テーマ落語会vol.3 こんな事になろうとは」、たまさん「ペッパーラッパー」。高座でエグザイルみたいなダンス取り入れるわ、フリップ芸導入するわ、そこかしこに「くしゃみ講釈」のパロディちりばめるわ、腹筋破壊された。

10月27日、桂雀松独演会、雀松さん「らくだ」。「怖さ」「悲哀」が表に出ない、くず屋の愛嬌と調子の良さでアウトローを手玉に取ってしまうという部分にスポットライトを当てた「らくだ」。その、計算されつくした軽妙さが1時間にわたって全編で発揮されるというのは、これはもう人間業ではないのではないか。

11月3日、桂雀三郎独演会、雀三郎さん「寝床」。これも楽しさがずっと持続した高座。というか、雀三郎さんの高座っていっつもそうよね(笑)。テンポよくどんどんどんどん進んで、心の中の楽しさメーターがずっと振れっぱなしになる。

11月10日、動楽亭昼席、千朝さん「替り目」。千朝さんの替り目を聞くのは初めてだったんだけど、こんなオリジナリティあふれるものだとは思わなかった。うおお。

11月30日、入船亭扇遊 桂雀松二人会、雀松さん「たちぎれ線香」。愛嬌のある人物を演じさせたらすごい雀松さんが、よりにもよって悲劇のヒロイン小糸ちゃんをめちゃめちゃチャーミングに演じてしまったために、涙腺がひどいことになった。「あんな可愛らしい娘がなぜこんな事に……っ!」という。そりゃ、大名跡も襲名しはるわ。

12月15日、阪神ハートフル寄席、米二さん「胴乱の幸助」。去年も聞いて、去年も感動したんだが、今年もきっちり引き込まれた。今まで生で聞いた「胴乱の幸助」の中では、米二さんのが一番好き。

12月28日、ウイングフィールド、「桂九雀田中啓文、こともあろうに内藤裕敬。 笑酔亭梅寿謎解噺 立ち切れ線香の章」。これは落語じゃなくて演劇。出演者は三人。九雀さんは落語家役。落語を面白おかしく解体し、解釈し直すような脚本(それでいて笑えて夢中になる)、落語家としての生き方、役割。内藤さんの脚本の向こうに「落語家 桂九雀」が透けて見えるような、抱腹絶倒にして落語という文化への愛情あふれる舞台。


こうやって振り返ってみると、毎月最低一回は落語から感動をもらっていることになる。2013年もよろしくお願いします。
今年はもっと米朝一門以外も見なきゃなぁ。
実話ですね、去年の末にとうとう繁昌亭昼席を配信する有料サービスであることの「ライブ繁昌亭」に手を出しまして。その影響で、どうも桂枝女太さんが気になっているのですよ……