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万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

為末大さんの古典的なHIPHOPに関する無理解に対してひたすらRHYMESTERのリリックを引用する

音楽

為末大さんがtwitterでこんなこと言って炎上している。この手の言説ってまだ絶滅していなかったのかと、懐かしささえ感じる。
HIPHOPに対するこの手の批判は黎明期から言われまくっており、それに対する反論もされまくっており、そういう見方する人は随分減ったかと思ったら、まだいるものなんだなー。
ここはひとつ、RHYMESTERのリリックを引用することで、そういった批判に対してラッパーがどのように反論してきたか、見てみようと思う。


EGOTOPIA

EGOTOPIA

まず95年発売のアルバム“EGOTOPIA”より、どんなHIPHOPに対して批判がなされていたかについて。

「ヒップホップとかラップとかって
マニアック マニアックや~ん」

マニアック オタクならとにかく
「苦手なの」ってホザく

「バンドやってんだ? 楽器弾けんだ?
え? 楽器できないでバンドやってんだって?」

(悪趣味節)
この「悪趣味節」の中ではこれに対する反論としては「うっせーバカ!」以上の内容は言っていないのだけれど(笑)。


リスペクト

リスペクト

99年リリースの名盤“リスペクト”だが、振り返ってみるとこのアルバムでは批判に対する反論はあまりなされていない。むしろ自分たちの立ち位置の確認と表明、シーンの現状の確認といったものが多い。
それでもこんなリリックがあったりする。

体突き動かすアフリカンビーツ×日本語ラップ+缶ビール
探し出す自分の方程式 正解は誰も見た事ねえ景色
例えばイタメシ パスタにタラコ足したメニューが定番と化した
ごとく日本の歴史上に 残すべきもの作った生き証人
まさしく先見の明 教訓1はズバリ ファック世間の目
井の中の蛙 海に出ても生き残ってやる必ず

(リスペクト)
このように、99年の段階で自分たちの取り組んでいるものがアメリカのコピーを目指したものではないことを鮮明にしているわけだ。

そして01年リリースの“ウワサの真相”。アルバムのタイトル曲ともなっている「ウワサの真相」が、かなりキツい調子での反論となっている。

いわく「日本にHIPHOPは根付かねえ! 日本人がラップするとはイケスかねえ!
何の意味がある? この尻軽! 所詮無理がある!」

この「現場」以外に「本場」なんてのは存在しない
外野の野次は聞くにほとんど値しない
コンプレックス マジ脱したい?
なら他人の評価なんてのはそれこそ時代次第
てめえにしか託せねえだろプライドは
ワケがあんだよ このデカイ態度は
モニターに映る文字とかよかずっと確かな
オレの過去 そして明日だ

(ウワサの真相)
外野の言説よりも自分たちが積み上げてきた実績、これから築いていく実績の方がよほど価値があるという明快なメッセージだ。


そして04年リリースの“グレイゾーン”。ものすごく密度の濃いアルバムで、もう大傑作であるが、リリース当初はレーベルゲートCDだったんだよねぇ……今はCDDAでも出直してますが。

オレの名前はトーシロ 良く聞きな道行くトーシロ つまり同志よ
素晴らしい音楽史のパラサイト ヒップホップはまだくたばらない
オレの時代が終わっても このブームが去って明後日にもゴミ箱漁っても 電気すらなくなっても
最早止められないこのアートフォーム

(ザ・グレート・アマチュアリズム)
一過性のブームが去ったとしても、既にHIPHOPは根付いているんだという、根付かせようと奮闘してきた彼らからしてみたら勝利宣言みたいなものかもしれない。


んで、為末さんこんなことも言っているんだが


これに関して、一刀両断ともいえる回答がこちら

オレの仕事は本場モンの翻訳じゃない

(グレイゾーン)


そしてこれ以降はそういったテーマを扱う事もなくなり……とか思ってたんだけど、まだまだやっているね、振り返ってみると(笑)

06年リリースの“HEAT ISLAND”収録、曲名がズバリ“WE LOVE HIPHOP

キミらなんとも嬉しそうに言う「音楽はスバラスィ~!」ってその理由
「なんていうかラップとかヒップホップなんていうワク ラクに飛び越してるゥ~」
ヘイヘイ こいつはカチンとくる
悪気はねぇんだろうし まあまあ、そこは人徳
怒りゃしないがバシッと言っとく その欺瞞に泣くときがきっと来る」

まぁまぁ 分かる気もすんだよ アンチの気持ちも
ヤラれちゃってなきゃ あん時もしも オレも同じくdisしたかも
「徒党組んでハードコア気取るポーズ キモ~イ!」
だけどやっぱさぁ んな上っ面だけじゃねえんだ ヒップホップやラップは

(WE LOVE HIPHOP)
自分たちは未だにHIPHOPにこだわっており、批判は上っ面の物に過ぎない、というわけだ。


さすがにこれ以降のアルバムではHIPHOPを擁護する曲はなくなり(というか、もはやその必要性を感じていないんだろう)、社会的なメッセージが増していくのだけれど、今のところの最新作“ダーティサイエンス”収録曲から最後に少しだけ引用を。

オレは夢見る キミは夢見る
夢の無い時代に産まれても
今日の絵空事で明日を変えろ

(ゆめのしま)


多くのアーティストたちが夢を見て、その夢にまたニューカマーたちが夢を見て、現在もまだ夢を見つづけているわけで。
為末さん、例示としてHIPHOPを出したのは、はなはだ不適当でしたね。