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万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

LIBROの新譜「風光る」を初めて聞いたとき、どこに衝撃を受けたか言語化を試みるよ!

学生時代にどっぷりはまったものでも、社会人になり時がたつにつれてだんだんとシーンを追うのが億劫になってきて、気がつくと最近の流行とかさっぱりわからなくなっていた、なんていうのは良くある話で。私にとってはHIPHOPがそれだった。フリースタイルダンジョンの流行でまた興味が蘇り、少しづつ音源買ったりし始めたけれど。
しかし、関心が薄れている期間中も新譜が出ると必ずチェックしていたアーティストというのもいて、私にとってはそれがRhymesterとLIBROだったりする。「一番好きなミュージシャンは?」と聞かれたらRhymesterと答えるが、「一番好きな曲は?」と聞かれたらLIBROの「三昧」だと答える。


風光る

風光る

そんなLIBROの新譜「風光る」が出たのでもちろんチェックするわけですよ。いや、本当にこれはいいアルバム。
渋くて落ち着いててかっこいいビートに、LIBRO本人も客演陣も真摯で丁寧なラップを乗せてる。
a.k.a. GAMIがカッコよさの権化みたいになっている「オンリーNo.1アンダーグラウンド」、終盤の掛け合いが鳥肌が立つほどゾクゾクするポチョムキン参加の「NEW」、優しい曲調なのに鎮魂の趣さえ感じさせる「キミは天を行く」、以前の作品「COMPLETED TUNING」に収録された「ある種たとえば」で手塚治虫の「火の鳥」みたいなとんでもないスケール感のラップを披露した小林勝行がポジティブでハッピーなヴァイブスを振りまく「花道」、「胎動」収録の名曲「雨降りの月曜」の続篇ともいうべき5lack参加の「熱病」、落ち着いた雰囲気で丁寧かつ注意深いが「愛国心」なんぞという物騒極まりないテーマをポジティブに扱って見せる超危険球「あまなりしき」、などなど。

他の収録曲もいい曲がそろっていて、復活作ともいえる「COMPLETED TUNING」以降の作品の中では一番のお気に入り。
でも、初めて聞いた時に「あ! これ絶対いいアルバムだ!」と衝撃を受けたのは、実は曲ではなくて1曲目と2曲目の「繋ぎ」の部分だったりする。言葉でうまく説明できるかどうか。やってみよう。

1曲目「風光る」。リラックスした雰囲気の、少しゆったりとしたナンバーで「おお、いつものLIBROだー。良い意味でー」とか思いながら聞いていると、曲の終盤でそれまで使われていなかった「とーんとーんとっととーんとーん」みたいないなたいエレピのフレーズが入ってくる。
おー、ますます落ち着いた雰囲気だねえ、とか思いながら聞いていると、そのうちそのフレーズの響きが少し荒くなる。
んで、少しずつ少しずつBPMが速くなる。新たなドラムパターンが加わる。新たな上物が加わる。気が付くと既に2曲目に突入している。
わかるだろうか。シームレスに1曲目から2曲目に移っていく中で、さっきまで「落ち着いた雰囲気をさらに強調するようなエレピのフレーズ」だったものが、いつの間にか「クールでアグレッシブな曲の中心を構成するカッコいいフレーズ」に変貌しているのだ。なんてこった!

いや、大好きなんだよ。こういう「さっきまでとは印象ががらりと変わってしまう」快感っていうのが。
一例としてLiving Legends"Stop & Retaliate"を挙げておこう。

Living Legends - Stop & Retaliate
曲が始まった時には、どう乗ったらいいのかもよくわからない不可思議なループだったものが、ドラムが入った途端に重量感溢れる超カッコいいビートへと変わる。こちらの認識が一瞬で切り替わる。この快感。
たまんないよなあ、と思いながらまた「風光る」リピートするのであった。