エルヴィス・コステロの曲に“Ship building”という美しいバラードがある(アルバム“Punch the Clock (Bonus CD) (Dlx)”収録)。基本的にバラードって好きじゃないのだけれど、ここまで美しいとなんとも。
で、この曲って第1次世界大戦を題材にした反戦ソングなんだけれども、なんつーか、今一つピンとこないところがある。いや、戦争っつったらなんつっても第2次世界大戦でしょ、みたいな(笑)。第1次世界大戦と日本の関わりって、調べたら何かしらあるんだろうけど、正直よくわからないしなぁ。日本人には今ひとつ共感しにくいのかもしれない、なんていう風に思っていたわけですよ。
で、たまの休日(忙しいこの時期には本当、貴重だよ)に大好きなスティーヴン・ジェイ・グールドのエッセイ「マラケシュの贋化石」を読んでいたわけですよ。その中に著名な学者であるJ・B・S・ホールデンが戦争における毒ガスの利用について論じた小冊子を肴に、未来の予測不可能性を扱った章があるのだけれど、その中にこんな文章を見つけたんだわ。ちょっと引用してみよう。訳は渡辺政隆氏。
私は、イギリスやフランスのどんな小さな町の広場にもある戦死者の顕彰碑を見るたびに、背筋が凍る思いがする。決まって、一九四一〜四五年のリストよりも、一九一四〜一八年のリストの方が長いのだ(一世代の男性がほとんど根こそぎにされている場合も多い)。
なるほど、コステロの祖国イギリスでは、第1次世界大戦は第2次を上回る戦死者をだした悲劇だったわけだ。それならば納得がいく。