さて、休憩が終わりまして、エプロンを身に着けて名札も忘れずに、颯爽と休憩室から売り場に登場したわけですよ。
「うぃ〜っす。休憩ありがとさんです」
「…疲れてませんか?」
また、こいつはバイトのクセに痛いところをつく。
「疲れてなんていませんよ。ほら、このとおり。コサックダンスだって余裕で」
「無理はしなくていいですよ」
あ、こいつ、バイトのクセに苦笑いなんぞしやがってからに。
「いや、元気ですよう。今日は売り上げもいいし、むしろ上機嫌なくらいでございまして」
「…いや、でも」
「でもなんだね? 聴いてあげようじゃないか。なんだっていうんだね? あん?」
「エプロン、裏表逆につけてますよ?」
……
「うるさいな! わざとだよ! ついだよ!」
バイトのクセに、この着こなしがわからないとは、なんと無粋な奴であろうか!?
…すいません。妙に悲しくなってきましたが、いったいなぜでしょうか? 見当もつきません。