万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

競馬ともっと気軽に

競馬、だいたいハズレ。

しかし、注目していた馬が上位に来ていないわけではないので、競馬との向き合い方をもっと気軽に改めようと思う。

思えば、最近は馬券に対して妙に色気が出てきていた。注目している馬を応援するという、競馬に復帰したての頃に原点回帰しよう。

そう言った目で見直せば、この土日の結果も悪くはなかったのである。ドーブネもマテンロウスカイも良かったし、エイシンフェンサーは3着に頑張ったし、アサカラキングはあわやの2着に粘ったし。

ハヤテノフクノスケに期待している

ハヤテノフクノスケという馬がいる。今日の京成杯で差のない4着に入った。期待している。

道中は3番手。平均か少し遅いくらいのペースでレースは進み、ジョッキーは最終コーナー入ったあたりからもう追い始めていた。はっきり言ってタイミング早すぎるように見えたんだが、最終直線で先頭の馬を抜き一旦先頭。ところが、坂で伸びが止まってしまう。

ここでそのままずるずるだったら少しがっかりなのだが、坂を登り切ったところからまた差を詰めてきた。順位的には、さらにその外から並んで差してきた馬たちに敗れ4着だったが、体重14キロ増で、それと関係があるかどうかはわからないが仕掛けも早く見えて、それで差のない4着だから、この先十分期待できる。

賞金を加算できなかったが、無理に春のクラシックに間に合わせようとか思わず、秋に捲土重来を目指して欲しい。

だいたいこの馬、青森県産のウインバリアシオン産駒なんである。

生産牧場は、これまでそもそもオープン馬すら輩出していない。

それが新馬戦でミスタージーティー相手にクビ差の2着。ホープフルステークスで5着に入り、鞍上坂井騎手の騎乗を師匠の矢作調教師が批判したことでも記憶に新しいあの馬だ。裏を返すと、調教師も期待している素質馬相手にクビ差である。

2戦目の未勝利戦では、5馬身差の快勝。

母系はサクラ軍団の基幹牝馬スワンズウッドグローブにまで遡り、母父はシンボリクリスエス、母母父はコマンダーインチーフ。これで早熟なわけがなかろう。

こういう馬に注目できるようになって、競馬をまた再開して良かったと思う。がんばっておくれよ。

元旦から落語を聞きに出たり、地震が起きたり

元旦。行こうか寝ていようか毛布にくるまりぐだぐだ迷ったのちに、えいやと起き出して動楽亭昼席へ

 

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動楽亭昼席

弥壱…犬の目

ざこば…ざっこばらん

米紫…大安売り

出丸…不動坊

中入

一輝…大神楽

千朝…蔵丁稚

 

最近すっかり腰が重くなってしまっており、なんと8月以来の生の落語だ。今年は流石にもっと出かけたい。

ざこばさんはフリートーク。それもかなりゆるい。記憶の中にあるざこばさんよりも少しふっくらされた様子。もう76歳か。大阪から転勤になる以前に目にしてきたざこばさんは、パワフルでネタ下ろしもまだまだバンバンしてらっしゃっる、ノリに乗った状態だった。そこから脳梗塞で一度倒れられ、高座には復帰されているが、おそらくは意識的にトリや中トリをより下の世代の方に任せられるようになっている。

では、今日のゆるゆるなフリートークがつまらなかったのかと言うと、むしろ面白かった。一挙手一投足に客の側からクスリと笑う、なんというか、出てもらえるだけで存在が面白い状態である。

先代の春團治師匠や亡くなられた仁鶴師匠は、晩年は高座を控えられていたが、米朝師匠は割とぎりぎりまで(というのも変か)高座に上られていたと聞く。ざこばさんもまた、その道を歩いて行かれるのかもしれない。こんなこと書くと「寂しい」と感じていると思われそうだが、むしろ「面白い」が先に立っている。かつて涙腺を刺激されたり腹を抱えて笑わせてもらったりしたざこばさんにはもう会えないかもしれないが、いるだけで面白い新たなざこばさんに会えた。本日の収穫である。

ざこばさんのことばかり書いたが、他の演者さんも楽しくのめり込んで聞くことができた。米紫さんと千朝さんが腕っこきなのはもう私の中ではお馴染みだけれど、出丸さん、今までで一番のめり込んで聞かせてもらったかもしれない。

 

帰りに飯を食べて帰宅し、寝転がっていたら能登半島で大変に大きな地震。大阪でも長く唸るように揺れた。建物の倒壊や火事の被害が見られる様子。また、我が愛しくも呪わしい郷里新潟でも、液状化現象や道路の被害、断水の被害などが出ているようだ。震源地からはかなり距離は離れているのだが、それほど今回の地震は規模が大きかったのだろう。下越地方にこれほどまでに地震の被害が出るのは、新潟地震以来ではないだろうか? 中越地震でもここまでは聞かなかった。

ウマ娘三期の感想を簡単に記しておく

ウマ娘3期の感想を簡単に記しておく。

結論としては「前半は平凡。後半はとても良くできている佳品」だ。

このアニメの評価が分かれているのは、視聴する側のバックグラウンドの違いにも依存しているように思う。なので、そこも簡単に記しておく。

そもそも、90年代半ばから競馬ファンであった。毎週新潟競馬場に通い、毎週ギャロップ競馬エイトを買っていた。

しかし、社会人になってから基本土日が仕事であった期間が長く、やはり少しずつ関心が遠のき、なんとかギリギリカバーできているのはディープインパクトの引退くらいまでである。なので、キタサンブラック、オルフェーブル、ゴールドシップといった有名な馬たちは、もちろん名前と実績くらいは知っていたが、リアルタイムで追っていない。2010年代の競馬については門外漢に近い。

そして実は、いまだにアニメの一期と二期を見ていない。実は、アニメの一期が始まった時に第一話だけ見ようとしたのだが、レースシーンを見て視聴をやめてしまった。当たり前と言えば当たり前なのだが、レースシーンに物足りなさを感じたのだ。そりゃ、歩き始めたばかりと言えるアニメ一期1話のレースシーンと、実際の競馬のレースシーンを脳内で比べること自体、フェアじゃない気もするのだが。

やがて第二期が始まったのだが、終盤にアプリがリリースされた。二期も見ておらず、アプリの事前登録もしていなかったのだが、アプリリリース当日にTwitterのタイムラインがあまりに楽しげなものだったから、リリース初日からプレイしている。んで、ハマってしまって、その影響で久しぶりに競馬にも復帰した。

まとめると「競馬ファンウマ娘ファンだが、アニメ1期2期と、リアル競馬2010年代からウマ娘リリースまではエアプ」だ。

さて、というわけでコンテンツとしてのウマ娘はアプリを中心に楽しんでいると言えるのだが、アプリ内では中々描ききれない競馬のあり方、というのもやはりある。その一つが「ピークアウトして、成績を落として引退していく姿」だ。

これ、「そんな姿は見たくない」というのも心情としては良くわかるのだが(実際、「これ以上晩節を汚さずに、もう引退させてやれよ……」と思う馬というのも、割とたくさんいる)、一方で、ピークを過ぎても戦い続ける姿が忘れられない馬、というのもやはりたくさんいる。

例えばナリタトップロードの引退年。ついに再びのG1には手が届かなかったが、阪神大賞典で次世代のジャングルポケットをねじ伏せ、秋の天皇賞では苦手な中山開催だったのにシンボリクリスエスに半馬身まで迫り、年末の有馬記念ファン投票1位を取るまでに愛された。

3期はこれを描こうとしたチャレンジ、だというふうに捉えている。アプリでは中々描ききれないこのチャレンジについては肯定的に評価しているので、私の3期への評価も肯定的に寄る。

実際のキタサンブラックがピークを過ぎて翳りを見せていたかというと、それは実に疑わしい。そんな馬をベースにピークアウトした姿を描こうとするなよという意見も一理ある。

だが、では実際にピークアウトして引退する姿を描こうとした場合、「負けが混んで、そのまま寂しく引退」では、あまりに視聴の後味が悪過ぎてお話にならん、とも思うのである。最後の花道を飾れる展開にしないとエンターテイメントとしてかなり難しいことになる。

では、ウマ娘になっている競走馬の中で、見事に最後の花道を飾ってみせたウマ娘は誰か? これはキタサンブラックだろう。

私の中では「そうだよな。引退を描くならキタサンブラックがピッタリだよな!」となってるわけだ。

だもんで、美しい引退を描くがために「実際にピークアウトしていたのか?」という部分の解釈をアニメではいじった。歴史小説における歴史の最解釈みたいなものだと認識している。

あとは、その歴史観、新たなキタサンブラック像を受け入れられるか、お気に入りになるかという話。もう、好みだろう。また、何歳の時に見るかにも、どの程度競馬をみているかにも、アニメ1期2期への思い入れがどの程度あるかにも、大きく影響されるだろう。まだまだ若く希望に溢れたあなたと、もう人生を9割方諦めている私とでは、黄昏に対する感情移入が段違いなのだ。

私個人としては、引退の描き方には大満足である。むしろ、1クールのペースなら、キタサンブラックのキャリアの前半をもっともっと大きくカットして、後半部分をより長くじっくりやって欲しかったまである。しかしそうすると、アニメにとどまらないコンテンツとしての「ウマ娘」において目玉になるであろうドゥラメンテにスポットを当てられないと言うことも意味するので、商業的な理由から現実的ではないだろうなとも。

 

東京大賞典

東京大賞典、終わってみればウシュバテソーロの完勝だった。

レースとしては、ウィルソンテソーロが見事だった。前走、出遅れからの大外強襲で穴を開けた同馬が、今度は抜群のスタートから臨機応変にハナを奪い、レースを支配して道中しっかりペースを落として足を溜めて、最後まで粘り切る。

それを、例によって(ほぼ)道中最後方の追走から差し切ってしまうのだから、やはりウシュバテソーロはすごい馬のまま、戻ってきてくれたわけだ。

事前の雰囲気としては、ドバイWC馬ウシュバテソーロと、南関東の怪物ミックファイアとの対決に注目が集まっていたが、双方ともに私は不安を拭えなかった。

ウシュバテソーロは、海外で連勝が止まり、そこからあまり間を開けない中での帰国初戦。スケジュールが詰まりすぎている気がした。

そして、そもそもダート転向が遅かった馬である。ドバイを制し、休養を経た後の始動戦、日本テレビ盃。結果としては文句なしの快勝なのだが、言うてもJpn2である。勝って当然と思われるレースで、まあ危なげなく勝った「だけ」でもあり、前の冬に彗星のように現れ、そのままドバイWCまで制してしまった煌めきを維持できているのかどうか、確信できなかったのである。

つまり、ドバイがキャリアのピークで、そこから下がってきているところを私たちは見ているんじゃないかと言う不安があったのだ。

対するミックファイアは、スーパーダートダービーをまさにものすごく強いねじ伏せるような競馬で制したのだが、その後の盛岡遠征、ダービーグランプリでは「あれっ?」と言う感じだった。形としては横綱相撲で勝ったのだが、「怪物」と言うほどの圧倒的な能力差は感じられなかったのである。厩舎のSNSアカウントを見てみると、輸送で大幅に馬体を減らしていたらしい。最終的な数値的にはマイナス3キロに過ぎないが、これまで南関東三冠を体重を微増させつつ戦ってきた馬が、前哨戦の意味もある盛岡で体重減。厩舎のコメントも「よく頑張ったね!」的な馬体を気遣うもので、まさかまさか、輸送が弱点だったわけだ。

その後、チャンピオンズカップ東京大賞典の両睨みと報じられていたが、結局、より日程の開く形となる東京大賞典参戦となった。強い状態に戻せているだろうかと言う不安があった。

まあ、不安と言い出すと、チャンピオンズカップでともに好走を見せたウィルソンテソーロとドゥラエレーデだって、激走の反動がないか不安だったんだが。

結果、ウィルソンテソーロとドゥラエレーデは激走の反動など感じさせない見事な競馬で2着3着。ドゥラエレーデ、ダートに限ると、1-1-2-0の成績である。しかもどれも重賞、2つはG1なわけで、方向性がわからないと言われ続けた同馬の適性がようやくわかった気がする。これでまた春に大阪杯とか出てきたら笑うしかないが。

対して、ミックファイアはスタートで立ち上がりかけに見えた上に大きくよれて(真横のウィルソンテソーロの好スタートとは対照的だったし、また、横にそんな状態のミックファイアがいたのに、よく冷静に対処してそのままハナをとったものだ)、好位を確保できずそのまま馬群に沈み、結果、ブービーである。

焦って川崎記念とかかしわ記念とか狙わずに、じっくり立て直して帝王賞あたりで復活を期してほしいが、さて、どうなるか。

 

やりきれない寂しさを承知した上で笑う現象

亡くなられた柳家小三治師匠、マクラのみの会を収録した音源も出されているのだが、その中で「駐車場物語」というものがある。自宅のガレージにホームレスが住み着いてしまってさあ大変、という話で、まあ、楽しい。楽しいのだが、終わり方には、少しやりきれない寂しさが漂う。

終わり方としてはハッピーエンドなのである。でも、もちろんこれは勝手な推測なのだが、その終わりの前の小三治師匠の口調に寂しさが滲んでいるように思えて、それが「ああ、このハッピーエンドは、お客さんの前で話すためにこしらえたハッピーエンドであって、ほんとうはこんな幸せなことにはならなかったんだろうな」と、ついつい感じ取ってしまうのだ。

演者たる小三治師匠も微笑んでいる。客としてのこちらもみんな楽しんでいる。でも、みんなが「本当はこうはならなかったんだ」というやり切れなさを知った上で、その中で笑っている。

有馬記念

有馬記念、いい競馬だった。澱みないペースで逃げて最終コーナー回ったところでは決まったかと思えたタイトルホルダー。外枠から抜群のスタートを決めていい位置に取り付いたスターズオンアース。前半我慢して、二周目第3コーナーから抜群のタイミングでスパートを開始した勝ち馬ドウデュース。三者三様の競馬で、それぞれ強い内容だった。

公開されたドウデュース武豊騎手のジョッキーカメラ、馬を降りた後に「よし、もういっぺん行こう。フランス行こう」との言葉。

日本競馬が何が何でも凱旋門賞を目指す時代ではなくなったと思うが、やはりそれでも痺れる。