万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

日本沈没 第二部

予想できたことだけれど、第二部はポリティカルな要素が強くなっている。スペクタクルな感じはほぼゼロ。日本沈没というと政治的な深みや科学的な洞察などが語られることが多いけれども、それ以前の段階としてパニックノベルとしてまず凄かったのだなということを再認識させられる。ちょっとずれるけれど、エヴァンゲリオンがSF的にとか文化論的にどうこうとか言う以前に、アクションとしてすさまじくよい出来だったような、そんな感じ。

谷甲州だし、山岳シーンもあるし、技術者魂豊かだし、面白いことは間違いないんだけれども、少々スケールダウンしてしまったなあという印象は拭えない。
コスモポリタニズムってのが、来るべき現代的な政治思想として配置されているのだけれどもさ、一国の政変でそれが実現された結果全地球的な危機が回避されてしまうってのは、逆に前時代的になってしまっているような。
エピローグも少々飛躍しすぎな感じがする(愛すべきラストだとは思うけれど。クラークの傑作「楽園の泉 (ハヤカワ文庫SF)」のラストシーンが、突飛ではあるけれど愛すべきものであったように)。
これは贅沢に過ぎる要望だと思うのだけれど、日本沈没にはかかれざる第三部が必要なのではないかという思いが強い。「日本」「日本人」の枠を飛び出し、全世界で全地球的な危機に立ち向かう第三部が必要なんじゃないかな。