げっ歯類であります。大好きなのはヒマワリ*1と金。
私のペットではありませんし、大体がペットを飼いたいという欲求もありません*2。
つーか、何が悲しくて夜の11時半頃に、外でぶるぶる震えながらゴミ箱を漁らねばならなかったのでしょうか?
ゴミ箱を漁っていたのは、このげっ歯類ではありません。
私でございます。
ですから疲れてるんですよ。さっさと熱い風呂にでも入ってゆっくり寝たいんですよ、本当は。こんなブログなんか更新している場合じゃないんです。でも、今日は眠れない理由があるんですよ。まったく。いまいましいったらありゃしない。
今日は仕事の進みがよろしくてですね。これは定時であがるのも夢ではないかも、ってな驚天動地の勢いだったんでございますよ。
勤めている店の閉店時間は夜の12時なんですが、速やかな閉設作業へ向けての準備が佳境に入る11時過ぎ、店の電話が鳴るわけでございます。あー、こんな時間の電話というのは碌な要件じゃないんですよ、イメージ的に。きっと統計でもとってみれば内容的には他の時間帯の電話とさして変わらないんでしょうが、この時間からクレーム処理なんて羽目になりますとこれはもうテンションが下がるもんでして。そのイメージが先行してしまっているんでしょうね。
電話に出てみますと、なんともややこしい話でして。中年のご婦人からの電話だったんですが。
話は今日の開店時に遡ります。
ウチのブログを見るような方にはあまり縁がないかもしれませんが、今日は遊戯王カードの新作の発売日でしてね。住宅地が近く子供のお客さんが多いこともあり、新作発売日は何人か開店前から待ってる、なんてこともよくあるんです。私は遅番だったので朝の様子を見たわけではないんですが、売れ行きを見る限り、今日もきっと朝から子供さんがすごかったんでしょう。きっと(いつもどおり)走り回るわやかましいわ、カードを出した後の袋を千切っては投げ千切っては投げ、えらい騒ぎだったに違いありません。
で、その電話を頂いたお客様のお子様も、朝、ご来店いただいたそうなんです。
そしたら、店内でハムスターの入ったケースを持っているお客さんがいたそうなんですね。げっ歯類、なかなかかわいいものですから。目についたんでしょう。
自分の買い物が終わってさあ帰ろうかという段になりまして。入り口を出たところに設置してあるゴミ箱をひょいと見てみますと、なんとそこにさっきのハムスターが入っていたケースが捨ててある。それもきちんとおいてあるんじゃなくて、ケースがすっかりひっくり返って、中のおがくずも外に出てしまっていて。これはもう明らかに「捨てて」あるわけです。
あれ? そうすると中のハムスターはどうなったんだろう? と気になったそうなんですが、お客さんも多く、人目のあるところで子供がゴミ箱をひっくり返して中を漁って見るというのも、あまりみっともいいことじゃないですから。少し探してみた程度にとどめて、そのまま家にお帰りになった、と。
ところがどうしても気になって仕方がないそうなんですね。あのハムスターはどうなっちゃったんだろう、と。なんとも気の優しいお子様でございます。ええ、結構なことですよ。
それで、申し訳ないけれどゴミ箱を確認してもらえないか、ときたもんです。
皆さんはもしかしてご存じないかもしれませんから書いておきますが。
1月15日の夜23時過ぎというのはですね。
寒いんです。
とっても。
なんで夕方までに気になってくれなかったのさぁ……
でもまあ仕方がないので防寒着を着込みまして、店の脇の物置のところに回ります。土・日はお客さんの出入りも多いのでゴミ箱にもすぐにゴミがたまります。ですので、1〜2回くらいゴミ袋を入れ替えるんですな。回収したゴミ袋は物置の中入れておくんです。物置を開けてみますと、前日のゴミと今日のゴミが、袋に入って6袋ばかしどーんとおいてあります。
その中から街灯の薄明りを頼りに、そのハムスターの入ったケースと思しきものが入ったゴミ袋を探し出す作業に約10分。
で、そこから更に、なにせ探し物が小さいですから、相手はげっ歯類ですから、見逃してはいけないので、持ってきておいた空のゴミ袋に中身を一つ一つ手で移しながら調べていくわけです。
しかしなぁ、考えてもごらんなさいな。皆さんご存知ないかもしれませんが、1月の15日って、寒いんですよ?
そんな中に朝の開店まもなくから、ゴミ袋に入っているとはいえ店の外の吹きっさらし。その後は底冷えする真っ暗な物置の中に放り込まれてるわけですよ。
自慢じゃありませんがね。私だったら間違いなく息絶えております。
ましてや手のひらサイズのげっ歯類ですよ。とても体温なんか残っているわけがないんですよ。
とまあ、そんな感じで悲観的なこと考えながら作業してますから、効率も良くはなりません。寒いですし。
その間にどんどん時間はたつわけで。私の退社時間もその分だけどんどん後ろにずれていくわけです。
今日は夢の定時退社だったはずなのですが。まあ、ねぇ……
とまあそんなこんなで30分。
驚きましたね。動いてやがりますよ。
それも痙攣とかそういったネガティブなもんじゃないの。走ってんのよ。ゴミ袋の中を。いや、わかんないもんだね。食うものだってなかっただろうに。
件の捨ててあったケースに放り込みまして蓋をして。すぐさま店内に持ち込みます。見るとエアコンがケチって一台しか稼働してませんでしたので、まあちょっとの間ならいいかと三台フル稼働にいたしまして。
さっそくお客様にお電話さしおあげたところ、「まぁ! 本当ですか!」と声が裏返ったりなんかしちゃいまして。「すぐにお伺いします!」てな具合で。親子三人連れで引き取りに来られました。寒い中ご苦労さまでございますが、まあ一番寒い思いをしたのは……俺じゃなくてハムスターだな、よく考えてみたら。
ともあれ、ハムスターはその新しい飼い主のところに引き取られていったわけです。写真は電話してから引き取りに来られる間にとったもの。
と、寒い中ゴミ箱を漁ってハムスターを拾った話はこれでおしまいです。
皆さん、鶴の恩返しってご存知ですか?
落語でも、例えば「狸賽」って話では命を助けられた子狸が恩返しに来るお話。
「天神山」なんてお話ではやはり命を助けられた狐が、美しい女性に化け、救い主の女房になりに訪ねてまいります。
疲れているし、寒いし、本当は風呂に入ってさっさと寝たいんですよ。こんな、ブログにくだらないことを書いている場合じゃないんです。
でもね、あのハムスターがいつ訪ねてくるかと思うと、もう気が気じゃなくてですね。とても寝ていられないんです。
大好きなのはヒマワリ*3と金。