万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

この三冊

今手元に、3冊の音楽本がありまして、いずれもヒップホップ入門のための本。いずれも96年発行であります。
書名は「ヒップホップ ベスト100」(バッド・ニュース)、「The Perfect Beats」(ミュージックマガジン増刊)、「ラップ/ヒップホップ」(音楽之友社)でございます。
まだ洋楽を聴き始めて間もない頃、この3冊の本を地図代わりに、いろいろと知らないアーティストの作品を買いあさったものです。
2003年から96年を振り返ってみると、90年代半ばというのは、ヒップホップが一番いい時期でありました。NASやジェルー・ザ・ダマジャ、モブ・ディープ、ルーツ、ウータンクランらが注目され、西海岸ではGファンク勢がその絶頂にあり、東海岸でもKRS-ONEATCQ、DEFSQUAD勢らが支持を集め、マーケットを意識することなく傑作を発表していました。その後、ショーン・パフィ・コムズやマスター・Pによってヒップホップが産業と化す直前の、最後の黄金時代だったと思います。
また、国内に目を転じてもライムスター、キングギドラMUROブッダブランドといったアーティストたちが、活動の転換点となる作品を次々と世に問い始めた、言い換えると、ジャパニーズヒップホップが胎動を始めた時期でした(リブロの「胎動」という、忘れがたい名曲もありましたっけ)。
この頃の日本では、アーティストサイドにも、ジャーナリズムの側にも、日本でヒップホップを確立してやるんだ、という熱気が満ちていた時代でした。この頃に発表された作品のリリックに目を通していただくだけでも、それはわかっていただけると思います。
今考えると、私がヒップホップを聞くようになったのは時代のめぐり合わせに恵まれていたからだなあと、この3冊の本を読み返しつつ、感慨にふけってみるのであります。