同じフォーティの「生命40億年全史」は、生命の進化をそれぞれの種の来歴としてではなく、その時代にどのような風景が広がっていたかとしてスナップショット的に捉えた面白い本だった。てえとジュラシックパーク的な想像をついしてしまうんだが、恐竜は脇役に甘んじているあたりが三葉虫を専門とする著者の面目躍如というか。恐竜に関する記述が隕石衝突による大量絶滅説にまつわるエトセトラで埋め尽くされているのは、なんとも天の邪鬼。いいぞ、もっとやれ。
言ってみれば「生命40億年全史」は編年体に例えることができると思う。
そして、「地球46億年全史」では逆のアプローチを採用している。その時代、その時代にどのような風景が広がっていたかではなく、ある土地がどのような来歴を持つのか。「この時代の○○は海の底に沈んでいました。当時の××大陸には広大な平原が広がっており…」ではなく、「この土地の土台をなす地層は過去海の底にあり、それから地下にもぐり、やがてまた地表へと出てきました。なぜ地表へと姿を現したのかというと…」というスタンス。いわば列伝に例えることができるだろう。ナポリ、ハワイ、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカといった土地を舞台に、岩石の栄光が語られる。
地質に関する本ではわりとよくあるスタイルなんだろうか? あまりその類の本を読んだことがなかったせいか、とても楽しく読み進めることができた。
アメリカやイギリスの土地勘があったら、もっと楽しく読めただろうになぁ。