万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

笑福亭たまさんがホームゲームで危険球を投げる


足の怪我もよくなったので、8月31日に久しぶりに落語を聞きに出かけた。高津宮は高津の富亭でこの8月に14日間開催された高津落語研究会特別講演の最終日、千秋楽という奴だ。
野球やサッカーなどでホームとかアウェイとか言うが、完全なるホームだった。とはいえこのホームと言うのはこの高津の富亭で毎月「高津落語研究会」として勉強会を開催している4人(敬称略で桂南天、笑福亭たま、桂ひろば、桂雀五郎)が作り上げたものだ。毎月の積み重ねで支持を広げ、8月に14日間公演というお祭り(しかもそれぞれの演者は14日間別のネタをする)を仕掛けた。千秋楽が盛り上がらないわけがないのだ。あの高津の富亭になんと77人の入り。
番組は
雀五郎……初天神
ひろば……上燗屋
南天……代書
たま……三十石
大喜利・抽選会

となっている。4人がそれぞれに見ごたえ、聞きごたえのある高座で、もう楽しくて仕方なかったんだけれど、それはやはり客席に漂うホーム感というのもあるだろう。客席もだんだんノってくるのだ。
特筆すべきはたまさんの「三十石」だろうか。どちらかと言うと風情を楽しむような話として演じられることが多い「三十石」だが、それを見事にぶっ壊して爆笑譚、というか艶笑噺にしてしまった。これもホームでしかできないチャレンジだろう。仮にだけれど例えば繁昌亭の昼席でやったらおそらく客席はドン引きすると思う。
聴いている最中はそこまで気が付かなかったのだけれど、たまさん、マクラでは「学校寄席に行って、演目や落語の中で使われる言葉について教育上ふさわしくないからと言う理由で自主規制を求められた」という話で笑いを誘っていたのだけれど、あれ、「だから今日はもう思いっきり危険な事やるよ」ということだったんだな、多分。
素晴らしかったのが、最後の抽選会も盛り上がったことだ。だいたいこういう抽選会って途中で結構ダレたりするんだけど、なんと最後に14日間のネタを書き出して会場内に貼ってあったネタ帳を争奪するべくジャンケン大会に突入したのだ。終演後にもう一回ヒートアップして終わるという。会の後味としては最高だった。