万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

10年前の自分への手紙

よお。確か、大学1年生のはずだな。夏休みは満喫したか?
まあ、あれだ。10年後も大過なくやってるよ。
古本屋を回って絶版文庫を漁り、HIPHOPに興味を持ち出してるはずだな。
その嗅覚は間違ってない。どんどん読んで、じゃんじゃん聴いてくれ。10年後の今も、その本や曲が、かけがえのない財産になってるから。
あと、もうちょっと専門書も読んでおけ。大丈夫、確かに眠くはなるけど、案外面白いもんだ。手始めに、お前んとこの教授連中の本でも読んどけや。幸いにして、面白い本が書ける人たちだから(つっても、お前の専攻だと、書いてるの二人だけだけどさ)。
あとな、そのままでいても、かけがえのない友達はできるからな。そこらへん、そんなに焦るな。まあ、その時期の焦燥感ってのは仕様みたいなもんだけど、もっとゆっくり構えてろや。
酒、強くないのはわかってるけど、飲み会には顔を出すようにな。その方がなにかと楽しめる。だれもお前を置いてけぼりになんかしないから、焦んなって。

それと、奥手なのはわかってるが、言っても言わなくてももてないのには変わりがない。振られてナンボで、どんどん行っとけ。振られなかったら儲け物だ。

あと、昔から写真とかあまり撮っていないと思うが、もう、じゃんじゃん撮っておけ。
これはお前のためじゃなくて、俺のためだけどな。当時の写真が少なくて困る(笑)。
凍結した通りとか、並木のプラタナスの饐えた匂いとか、門の前のローソンでかかってたミスチルとか、ロッジのチキンカツとか、八珍柿とか、ブックスザウルスとか、生協の書店とか、第三学食とか、平日昼間のシネウインドとか、終電前のゲーセンとか、全部、頭の中に叩き込め。
そこには、もう帰れないからな。その居心地のいい空間は、今しか存在しない。当たり前だけどな。

将来のことなんて漠然としか考えていないだろうが、聴いて驚け、ずっと新潟で暮らしていたお前が、今では関西の住人だ。人生、何がどうなるかわからんもんだな。
お前の就職先は転勤が多い。転勤先で、いろんなかけがえのない人たちと出会う。で、転勤が多いから、その友人たちと離れてしまうんだけど、それでもその人たちは、お前のかけがえのない人たちで居続ける。大事にな。
そんな中に、Kって奴がいる。お前より2歳年下で、お前とは対極にいる優男だ。
そいつとは大の友人になるから、もう、これ以上ないくらいに、もう嫌になるくらいに、色んなことを、たくさん話しておけ。会話だ、キャッチボールだ。
俺は、それが足りなかったおかげで、そいつとは(多分)一生、話すことが出来なくなっちまった。でも、もっともっとたくさん話しておけば、ああいうことは起きずに済んだかもしれない。だから、たくさんたくさん話しておいてくれ。お願いだから。

まあ、お願いといったら、そんなところか。
ちなみに、社会人になってからもお前はもてない。
けどまあ、大事な人には出会えるから、安心しておけ。
うん、そんなところかな。
じゃあ、体には気をつけて。ひねくれるのも程々にな。素直な方が、なにかと人生楽だし、楽しい。
それでは、また10年後にでも。