万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

入場料を取る本屋について空想してみる

入場料を取る未来の書店を考える

上記のエントリを読んで、入場料を取る本屋について空想してみた。ただ、これは私が「こんなところがあったら行きたいなー」と思ったものであるので、ビジネスとして成り立つのかとか、既存の新刊書店を救うとか、そこらへんのことはあんまし考えていないのでよろ。


入場料を取るからには、入場料を払ってもいいかなと思わせるような付加価値がないと、やっぱりあまり行きたくない。
豊富な在庫? 未知の本との出会い? うーん。それを求めるなら、私だったら近鉄に乗って京都のジュンク堂とかブックファーストとかに行くわ。ついでに街をぶらぶらしたりお寺みてきたり美術館みてきたりして。
居心地の良い読書環境? ネット喫茶一択。
マンガじゃなくて活字の本をゆっくり読みたい? うん。ジュンク堂に行く。


つまりは、これらの競合に対してさらなる付加価値をつけたサービスじゃないと行きたくないわけで。
あれだ。いっそのことさ、本屋やめてテナント料から収入を得たらいいんじゃないかな?
新刊書店って、なんというか、出版社の陣取りゲームなわけで。
少しでも多くの陣地を確保しようと、陣地に収容できないほどの兵器を送られて途方に暮れることもしょっちゅうだけれど、まあそれはさておき。
どうせ陣取りゲームであるならば、陣地をお貸ししますから、どうぞ、思う存分力をふるってください、と。もし人員が欲しいのでしたら書店員をお貸ししますよ? その分の経費はいただきますが。


つまり、ですね。
出版社にブースを出店してもらうわけですよ。出店料はいただきますが。
これ、ちょっと覗いてみたくない? 自分の好きなあの出版社が、どんなことをやっているのか。
色々と夢想してしまうわ。あの出版社は普段なかなか街の本屋では見かけないのだけれど、さすが自分のところのブースでは品揃えバッチリだわ、とか。逆に新作を豊富に用意し、はては刊行予定まで派手に宣伝して、未刊行新作の一部見本やグッズまで販売しちゃいますよ、とか。ウチはカタログの豊富さが強みです、オンデマンドで品切れ本、受付しますがいかがです? こちらが出来上がりの見本です、とか。自分たちで売る分には再販契約なんぞ関係ないわ! バーゲンだバーゲンだ! 在庫処分だ! とか。


感覚的には見本市、ですわなぁ。
これならちょっと覗いてみたい。
もちろん、こんなもん、かなりの集客がないと成り立たないので、そうそうポンポン作れるものじゃない。大都市圏の端っこの方に一店舗から数店舗、ってとこでしょう。
でもねえ、既存のサービスで既に提供されていない体験っていうと、正直ね、本屋には提供できないと思うんだよな、それ。色々と制約が多すぎる*1
入場料をとれるような新たな体験を提供できるとしたら、それは書店ではなく出版社でしょう、と。だったら出版社にスペース貸し出して、やっていただきましょうと。もっとも、スペースを貸し出すのが「本屋」である必要性って、欠片もないんだけど(笑)。
繰り返すけれど、私は別に新刊書店を救うアイデアとして「入場料を取る書店」ってのを検討しているのではないので、そこんとこはご理解のほどを。


電撃ブースとか早川書房ブースとか東京創元社ブースとか白水社ブースとか河出書房新社ブースとか、個人的には行ってみたいねぇ。
いったことないからよくわかんないんだけど、コミケとかの企業ブースとどう違うの? とか言われそうだ。
胸を張って言おう! 想定している客層が違うだけで後は特に違いありません、と!


追記:エントリを書いた後に本屋のほんねさんのエントリに気が付きましたので、リンクいたします。一番最後の方の「テーマパーク」ってのに近いかもしれないですね。
2008-11-22 - 本屋のほんね

*1:意地悪な言い方をすると、そういった新しい体験ってのを、新古書店やらネット喫茶やらネット書店やら、自分たちが目をつける前に次々と抑えられてしまったのが今の「新刊書店」なんだと思うよ。