万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

喜怒哀楽エンジン

Femi Kutiという人の“Fight to win”というアルバムを聞き返していて、ふと思ったのだけれど、このアルバムの中には、アフリカの現状に対する怒りが、溢れんばかりに詰まっている、というか、溢れ出しているから、こんな厚く重厚な傑作に仕上がっている。
なにはともあれ、このアルバムは怒りによって形作られている気がする。
怒りというと、(個人的にフェイバリットなアーティストではないが)Ice Cubeなんか年中怒りっぱなしで、現在の地位を築いた人だし、大好きなBlack Star、A Tribe Called QuestGang Starrなんかも、社会問題や心の問題に対するシリアスなアプローチが目立つアーティストだ。
嘘だと思ったら、ATCQ最後のアルバムに収録されている“The LOVE”聴いてみな。ありゃ泣くぜ、ホントに。
で、自分の作家の趣味に目を向けてみると、スタニスワフ・レムや、アーサー・C・クラークといった、理性の権化のような作家も好きではあるのだが、個人的にこだわりのある作家、というと、やはり感情剥き出いつまでもどこまでも人間社会を悲しみ続け、諦め続けるカート・ヴォネガットや、ありとあらゆる理不尽や不幸に、泣きながら勝ち目のない喧嘩を吹っかけ続けたフィリップ・K・ディック、一生涯賭けて、どこか別の世界へ旅立とうとし続けた(そうじゃないかい?)ジェイムズ・ティプトリー・Jrなどなど。
月並みだけれど「スローターハウス5」「暗闇のスキャナー」「接続された女」なんかを読んでみな。死にたくなっても不思議じゃない。
喜怒哀楽とは、うまい言葉を昔の人は考えたもんで、この喜怒哀楽って奴を原動力に作られた作品に、私はどうしようもなくひかれてしまう。
何か書きたくなる時ってのも、喜怒哀楽って奴が抑えられなくなったとき、そんな感じがするんだな。
今のところ、主に「怒」と「哀」でしか動けない私だが、これが「喜怒哀楽」4つともうまいこと使えるようになるってのが、人間的成長って奴なんだろう。
し。