小泉首相は、話題の映画「華氏911」に不快感をお持ちだそうで。
でも、こういうことを言われると、逆に見たくなるというのが人情ってものですよ。
「ボウリング・フォー・コロンバイン」がえらく面白かったので、見に行くつもりではいるんですが。
で、「華氏911」には「事実を正しく伝えていない」という批判があるわけですが。
んなこた、見る奴ぁみんなわかってるだろ(笑)。
前作「ボウリング・フォー・コロンバイン」にしてからが、事実を元に、それに脚色や演出を重ねて作り上げられた「主張」であるし。
あれだ、そういった手法は、日本では「ゴーマニズム宣言」で既におなじみのものじゃないのかしら? マイケル・ムーアと小林よしのりでは、ベクトルが随分違いますが(笑)。
そういや、一部で悪名高い報道ステーションで、アメリカでなされた偏向報道について取り扱ってました。我が身を省みずに偏向報道を問題視する朝日放送の度胸を見よ。
まあ、んなこたともかく、そういった偏向報道を指す言葉としてインフォテイメントってのがあるそうで。「infomation+entertainment」でinfotainment。
この言葉を聴いて思い出したのが、かのKRS-ONEが提唱したEdutainmentなるコンセプト。
Education+Entertainmantですな。
さほど盛り上がらずに終わったみたいですが。コンセプトとしては、むしろ今の時代にこそよくマッチしているものかもしれませんな。
ん? 週刊こどもニュース? いや、その時間帯には労働してますんで、見れないっす。
でも、そういう番組が増えるべきなのかなあ、とも思ってみたりしますが。
話を戻しますと。
ドキュメンタリーが事実を誤りなく、かつ偏りなくつたえるものである、という頭があるから、先の「華氏911」への批判が出てくるわけで。
この認識自体、もう何年も前に使い物にならなくなっている代物ですから、何かを批判するツールとして使うには、少々無理がありますな。
「華氏911」を批判しようと思ったら、違う方法でやらなくちゃ。例えば、同じ事実を、ムーアとは違った解釈で伝えるとかな。
大体、物事にはいくつもの側面がある、なんてのは、中学生のときに接近遭遇する認識でしょ。
思い出すのが、サミュエル・R・ディレイニーの傑作「エンパイアスター」。
「物事にはいくつもの側面、世の中にはいくつもの視点がある」ということを、これ以上ないくらいに華麗に表現して見せた、SF文学を代表すべき作品。
作品内では、その認識を「マルチプレックス」という言葉で強調していたな。
サンリオSF文庫より、絶賛絶版中。
同じ作品が収録されている早川書房から出た短編集「プリズマティカ」も、絶賛品切れ中。
本国で出版されたのが、いつだったっけ? 確か60年代だった気がしたが。日本での翻訳は80年代だったよなあ。
いずれにせよ、何年前の話だ?
で、「エンパイアスター」を読み直そうかと思ったのだけれど、どうやら実家においてきたらしく手元にないので、永らく積んであったブラッドベリの「華氏451度」でも読んでみようかと。
そんな一日。