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万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

4月26日に落語を聞きに行った記録/談春さんと「愛嬌」/愛される理由

日常 落語

神戸朝日ホール
立川談春独演会2013
談春…粗忽の使者
中入
談春…妾馬


マクラで「愛嬌」の話。同じ言葉を言っても、許される人もいれば相手を怒らせてしまう人もいるという話から、「近くで見ていると愛嬌の塊のような人だった」という談志師匠の話。最後は衰えていく談志師匠の姿を見ようと、高座の出来に反してお客さんの数が増えていく。それを前にして「こんなのは俺じゃないんだ」と全身で叫ぶ談志師匠。そこまで行かなかった分、矢来町や中村屋は幸せだったのかもしれない……というところから切り替えて落語へ。話の様子からすると、御自分にその「愛嬌」が足りていないという思いがあったりするのだろうか。
笑い一杯の楽しい楽しい「粗忽の使者」。粗忽者の侍、地武太治部右衛門(じぶたじぶえもん)をそれこお愛嬌たっぷりに。
談春さん、去年も一度独演会に足を運んでいて。で、その時は正直ね、こちらの体調のせいもあったのだけれど、いい印象ではなかった。トリの「居残り佐平次」には途中から引き込まれたのだけれど、中入前の「按摩の炬燵」は、正直、長すぎてだれてしまった。
この日の「粗忽の使者」は笑って笑って、気が付くと50分。こんなに時間が立っていたのかと、前回とは正反対の印象。

中入後はマクラなしでいきなり噺へ。これがまた素晴らしかった。
前半、八五郎の粗暴さがちょっと目につくところもあって「ん?」とか思ったのだけれど、クライマックスで、その粗暴さも計算されたものではないかという思いが強くなった。
クライマックスにおいて、妹を前にして八五郎は思っていること、考えていることを話し、周囲に頭を下げる。一見自分勝手に思えて、実は妹と母の事だけを考え、それを虚飾なしに伝え、周囲に妹をよろしくと何度も頭を下げてみせる八五郎。この場面は見事なもので息をつめて見入ってしまったし、鼻をすすりあげるような音も会場のそこここから。
と、ここで中入前の「粗忽の使者」とも内容的に呼応するような気がした。武家の話であるという共通点ももちろんだけれど、愛嬌のある人、愛される人の姿を目いっぱいに表現して見せた「粗忽の使者」。それに対して、傍からは粗暴に見える人物がなぜ愛されているのか。それは自分の事を後に回して、家族の幸せをただただ一心に考えることが出来る人物だからだという事を提示して見せた「妾馬」。うおう。
サゲでちょっとした一言。
「八五郎が士分にとりたてられまして、地武太治部右衛門と改名し……」
おそらくこの後も少し言葉が続くのであろうけれど、ここまで言った時点で会場からは抑えきれない拍手が。
そのまま談春さん、頭を下げて、会はお開き。
これは素晴らしい物を見た。