万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

新潟市古町通 萬松堂賛歌

社会人になり新潟を離れて、もう早いもので10年経つ。碌に帰省もしていないので、街はすっかり変わってしまっているだろう。
私が学生時代を過ごした90年代の新潟市には外資系のレコード店が3店あった。タワーレコードHMV、Virgin。特にタワーレコードによく通っていた。フリーペーパーを穴があくほど読みながら、毎月どの新譜を買うか悩みに悩みぬいたものだ。
映画館も少なくなり始めていたが、まだ健在であった。まだシネコンの時代が訪れる前であり、そうさな、7館くらいあったのではなかったかな。エヴァンゲリオンの初回に行列したりしたものだ。あと、劇場版攻殻機動隊の上映が、独立系の小さな映画館シネウインドで、しかも朝一番早い時間帯でしか封切りされていないことを知り、そのために早起きしたりしたな。同じくシネウインドやっていたオールナイトのホラー映画祭りに大学のサークルの先輩と乗り込んだのもいい思い出だ。あの先輩はいまでは地方公務員に収まっているはず。世も末である。
万代というところにJOYPOLICEが健在であった。後輩と一緒に団体でよく遊びに行った。アニメイトも確かその頃にできた。物珍しさも手伝い、何を買うわけでもないのだが結構足を運ぶ機会が多かった。
そして本屋。今はジュンク堂書店もできたそうだが、新潟市内で当時大きな本屋といったら紀伊国屋書店、北光社、そして萬松堂の3店。
どの店にもよく通っていたのだが、なんといっても一番のお気に入りは萬松堂だった。落ち着いたイメージの店内。かゆい所に手が届く品揃え。3店舗のなかで欲しかった本を見つける機会が一番多かったのも萬松堂ではなかっただろうか。前述の先輩曰く「萬松堂でみつからなかった文庫は新潟では手に入りませんよ」。うむ。ネットの普及率も大したことのなかった当時、まさに至言であった。そんな先輩もいまでは地方公務員のはず。世も末である。


昨日何気にネットを見ていたら、国書刊行会のサイトで嬉しい告知を見つけた。
国書刊行会−−最新ニュース

白水社国書刊行会 夏の100冊&100冊フェア

白水社国書刊行会が各社の好評本からもう二度と手に入らないかもしれない在庫僅少本、貴重なサイン本まで各社100冊ずつ計200点を取り揃えたフェアを開催します。夏休みの読書に是非、萬松堂まで足をお運びください。

会期:7/中旬から8/10まで
会場:萬松堂2F専門書フロア
お問合せ:萬松堂 TEL 025-229-2221


株式会社 萬松堂
〒951-8063 新潟市古町通6番町958番地 TEL 025-229-2221

なんと! 未だ健在どころかなんととんでもないことを!
国書刊行会! SFやミステリのファンならお世話になっている人も多いであろう。マニア垂涎のラインナップをこつこつと刊行し続けるなんともありがたい出版社だ。
白水社ジャンル小説にうつつをぬかし続けている私でもどこか憧れと畏怖の念を感じずにはいられない。スティーヴン・ミルハウザー、スティーヴ・エリクソンポール・オースターニコルソン・ベイカーなどなど、綺羅星のごとき作家たち。ライ麦畑でつかまえてを忘れちゃいけない。
いまでは「街の本屋」勤めの私が言うのもなんだが、どちらの出版社の本も中々街の本屋さんでは置いていない。新潟に住んでいる人がうらやましい。いや、冬は嫌だけど。あの鉛色の空、なんともね。
でも、夏の新潟といったら、毎日暑いし街中は風が強いし花火大会はあるしスイカと枝豆が特産だし夏競馬の開催はあるし、ちょっといい感じの土地なのである。
ぜひとも行って物色してみたいところであるが、私はこの夏も帰省できそうにない。是非私の代わりに萬松堂の健在ぶりを確かめてきてはいただけないだろうか?
e-hon 本/株式会社 萬松堂 古町本店
あと、シネウインドは健在か。駅構内のうどん屋とクレープ屋は相変わらず繁盛しているか。今でも妙に目立つ位置にのぞき部屋の看板が出ているのか。
なによりも、今でも歩いて気持がよくなれる街のままかどうか。
うーん。久々に帰省しようかなぁ。でも遠いんだよなぁ。