万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

12月15日 動楽亭昼席

桂そうば……十徳
桂ひろば……お玉牛
林家竹丸……手紙無筆
桂きん枝……親子酒
中入
桂蝶六……ぜんざい公社
笑福亭福笑……裏切り同窓会


昨日、興奮に任せてtwitterで感想垂れ流したので、それをコピペしたり一部追加したりして手を抜きますですよ(笑)
おりたさん(id:toronei)がトゥギャってくれたので(こちら)、なおらくちん。



今日の動楽亭昼席、お客さんの数は七人。こんなに客の少ない動楽亭に来たのは初めて。十徳をかけたそうばさん、お玉牛をかけたひろばさん、手紙無筆をかけた竹丸さん、いずれも手こずっている様子。そんな雰囲気を変えたのがきん枝さんだった。
きん枝さん、まくらで四天王の思い出話をたっぷりと。自分がなぜ他の師匠じゃなく文枝師匠に弟子入りしようと思ったかという話や、四天王それぞれの酒の席での振る舞い方の違いなど、六代目松鶴師匠の「悪い酒」の噺から親子酒へ。実に楽しい、いい雰囲気にしてくれた。
中入後に蝶六さん、福笑師匠に「こういう時のお客さんこそ大事にせなあかん!」と檄を飛ばされたとのこと。普段あまりしない話を、と、師匠である先代春蝶師と席亭ざこば師にまつわる、笑いたっぷりの、でもすごくいい話。
春蝶師の葬儀で友人代表として弔辞を述べたざこば師のところに弟子三人で挨拶に行った時のこと。皆で酒を飲んでいる内にざこば師が「春蝶やんより俺の方がええやろ?」と言い出して、中々収まらない。
蝶六さん、初めは受け流そうとしていたがその内に酒の勢いもあり、「ざこば師匠もいいですけど、春蝶の方がもっとええ!」と言い返し、その内涙がボロボロ出てきたが勢いは止まらない。「もうええ」と制止したざこば師の顔を見ると、ざこば師も号泣していた。「ええ弟子をとった。こうでなくてはあかん」
後で聞いたら、「そうです。ざこば師匠の方がいいです」とか言ったらグーで殴る準備をしていたとのこと(笑)。中々身内は泣けないもので、その時初めて大きな声を出したし初めて泣かせてもらった、と。その後、変わった稽古のやり方の話のあと、ぜんざい公社。
トリの福笑さん、登場するなり客席に「感謝します」。赤字に決まっているけれど、来てもらったおかげで、今日のこの場があるんだ。精一杯やらせてもらいます、と、一分以上かけて客席に感謝を述べ、頭を下げたところでこの日一番の拍手。
既視感あり。以前繁昌亭で、当代春蝶さんが体調を崩し、急遽途中で高座を降りた時、登場した福笑さんはやはり頭を下げ、事情を説明し、その分、精一杯やらせてもらいます、と会場一杯の拍手を受けていた。あの時と同じ光景だ。この人、プロだ。
福笑さん、先日テレビに出られた時「裏切り同窓会」をかけられていて、今日、家を出る前に録画していたその番組を見たばかりだった。で、今日も同じネタ。運が悪い、と言いたくなるところだけど、そんなん関係無かった。僅か七人の客席で、七人の腹が捩れた。
サゲを言って頭を下げ立ち上がり、もう一回「ありがとうございます。本当に感謝します」と下がった福笑さんに、七人の拍手がなかなか鳴り止まなかった。これでは、ファンにならない方が難しい。いい物を見せていただきました。