珍しく早起きができたので動楽亭の昼席に行くも、あの居心地のいい座椅子に座ってしばらくすると睡魔が襲ってきて、案の定、落語中に睡眠。やはり休み明けの昼間に落語を聴きに行くべきではないのだ。と、何度目かの後悔。
動楽亭昼席
そうば…鉄砲勇助
ひろば…兵庫船
三ノ助…夢八
塩鯛…くっしゃみ講釈
中入
文昇…紀州
松喬…お座参り
(トリの松喬師匠の後、ざこば師匠の「文七元結」公開稽古)
そうばさん登場の前に私服姿のざこばさん登場、今度の独演会でやる「文七元結」を固めたいので、トリの松喬さんの後、お時間のある方はお付き合い願いたいとのこと。今まで2回やったとのことなので、先日幸運にも遭遇できたネタおろしの後にも一回やったようだ。
三ノ助さん、古典聞くのは初めて。じっくり聞かせるタイプの古典を聞いてみたいかもしれない。
松喬さん、肝臓の数値が悪いそうで、今日も医者に無理を言って出てきたとのこと。面白おかしく聞かせてくれるけれど、大変そうである。
でもそんな中で「口に出してやるのは初めて」というネタをかけてくれるというのが、なんとも心強い。
そんな珍しいネタの「お座参り」は、あらすじとしては「風呂敷」とほぼ同様。ただ、登場人物や舞台がかなり違う。バレ噺なのだけれど、どこかほんわかとしたノリで安心して聞けた。調べてみたら、滅んでいたネタが復活した、その場に居合わせることができたらしい。私は落語に関しては中々運がいいようだ。
トリの松喬さんが高座を降りて太鼓がなった後、改めてざこばさんの出囃子が流れてざこばさん登場。
先日よりはずっとスムーズ。また、娘さんの人物造詣にオリジナリティを感じるも、ざこばさん本人は到底納得できなかったようで、終わった後高座で、いかん、まだぜんぜん整理できてない、と苦悩する姿を見せる。
客席より「良かった」「泣けた」との声がかかるも、「いや、それは話そのものの面白さで泣いてくれはったんでしょう」というような受け答え。みなさんが帰った後でまた稽古する、とのこと。
苦悩する落語家の姿、というのは、見てはいけないものを見てしまったような感じもあり、心惹かれるものがある。
高津の富亭へ。開場時間まで時間をつぶすべく、近くの公園のベンチで夕涼みしていたところ、何箇所か蚊にさされて大惨事となる。
たまのお試し落語会
福丸…道具屋
たま…崇禅寺馬場
松五…腕喰い
中入
たま…淀五郎
たまさんの古典2席はネタおろし。
福丸さん、オリンピックの枕。体操の技名にはその技を初めてやって見せた選手の名前がつけられているが、それが噺家の名前だったらどうなるか、という(笑)。やはり上手。休みさえうまい具合にあったら勉強会に行きたい噺家さんの一人。
崇禅寺馬場、鈴が森に似ているなと思ったら、これが東京に移植されて鈴が森になったらしい。似ているどころの話じゃないわけだ。喜六の母親まで登場する愉快な話に。
松五さん、怖い。腕喰いって、テレビじゃ絶対できない演目だなぁ。雀松さんのを聞いたことがあるのだけれど、松五さんのキャラもあり、より怪奇風味。こういう噺は良く合っているのではないだろうか。今日の高座で「笑わせるというよりもじっくり聞かせる能力に長けたタイプ」という印象になった。
淀五郎、かなりコミカルな味付けに。サゲもコミカル。ただ、そんなコミカルな味付けの中にさらっと芸の伝承についてたまさんなりの見方というものを滑り込ませているようで、油断がならない。
眠気が解消されたこともあり、夜の会、満足度が高かった。