万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

10月27日に落語を聞きに行った記録/一年越しのリベンジ/雀松さんのらくだが素晴らしかった

忙しさにかまけて記録書いていなかった。見に行ってから一週間たっちゃったよ。
27日に行った落語会は二つ。



桂雀松独演会 大丸心斎橋劇場
小鯛…時うどん
雀松…口入屋
中入
鶴笑…立体西遊記
雀松…らくだ


浪花三座会 トリイホール
愛染…子ほめ
まん我…植木屋娘
南青…神崎与五郎
中入
吉坊…猫の定信


ただ、夜に足を運んだ浪花三座会の方は開演少し前くらいからちょっと体調が悪くなってきて軽く頭痛もしてきたりして、主にこちらの問題で十分に楽しむことが出来なかった。まん我さんも南青さんも吉坊さんも是非勉強会や独演会に行ってみたい芸人さんなのだけれど。我ながらもったいない。
実は、そういったもったいない見方をしてしまったのが昨年の桂雀松独演会だったりしたわけで。こちらが寝不足と頭痛で足掻いているのを尻目に雀松さんが演じた「景清」は文化庁の賞もとってしまった。
というわけで、一年越しのリベンジだったわけだ。昼間は頭痛もなかった。


小鯛さんの時うどん、楽しかった。もっと会場、うけてもいいのに。
で、次が口入屋。雀松さんの口入屋は以前に大美落語会で見たことがあり、その完璧さ、楽しさにものすごく感動した(その時の感想は http://banraidou3rd.hatenablog.com/entry/20120201/1328109693 )。今日は半年ぶりくらいで再会。もちろん良かったのだけれど、始まってから2番目に聞くネタとしては少々もったいないかも、とか思ってしまった。二皿目にステーキ食ったような。
中入後、鶴笑さんの「立体西遊記」。見るのは初めてではないのだけれど、やはり今回も大笑いしてしまった。もう、文句なしで楽しい。会場皆で爆笑。
そしてお楽しみ、今回がネタおろしだという「らくだ」。素晴らしかった。
「らくだ」というとやはり凄みや悲哀を感じさせるような笑福亭のお家芸ってなイメージがあるのだけれど、雀松さんのそれはものすごく軽妙。主人公の屑屋が愛嬌の塊みたいな人間なんである。
らくだが死んだと聞いて思わず屑屋の顔に笑みが浮かんでしまう場面から、もう心が鷲掴みですよ。
いわゆる笑福亭の型では、というか松喬さんの高座では一番凄みが出る場面である「死体にカンカンノウを躍らせる」場面はあっさり目に。そして悲哀を感じさせる場面の屑屋が身の上を語る場面も悲哀は強調せず、その代わりに次第に寄っていく描写はもうたっぷりと。
憎めない愛嬌物の屑屋のペースに、気が付けば札付きもすっかり巻き込まれてしまう楽しい噺、になっていたのですよ。うん。
よくよく考えてみれば雀松さんの得意ネタでもある「片棒」も、ブラックユーモアを強力な「愛嬌」で包んだ噺。あの、憎めないブラックユーモアの楽しさを「らくだ」では1時間ほど持続させてみせる、というもうとんでもない芸当で。
サゲの改変(サゲの台詞自体は同じだけれど、焼かれるところまでいかない)もこの話を楽しい噺のまま終わらせるため、なのだろうなぁ。
なぜにこれほどの人のCD・DVDが一枚も出ていないのかは、本当に不思議。