万来堂日記3rd(仮)

万来堂日記2nd( http://d.hatena.ne.jp/banraidou/ )の管理人が、せっかく招待されたのだからとなんとなく移行したブログ。

SFが読みたい! 2008年度版/刊行予定は出版社の華 刊行遅れはSFの華

最近忙しくてブログの方が更新できなかった・久々に趣味のSFの話題でも。
上記「SFが読みたい! 2008年度版」ようやく数日前に購入。細かいところはおいおいチェックしていくとして、まずはざっと目を通した。やはり気になるのはランキングと、各社の刊行予定。さて、この中で何冊が2008年に出るんだろうか、とか(笑)。
自分用のメモと皆さんへの紹介を兼ねて、刊行予定で上がっている本の中から何冊かあげてみようかと思う。


まずは早川書房
昨年「Self-Reference ENGINE」「虐殺器官」といった話題作が刊行された《Jコレクション》のラインナップでは、おなじみの面々に交じってなんと長谷敏司氏の名前が。おおっ。ちょっと読んでみたいかも。
文庫では小川一水桜坂洋新城カズマ吉川良太郎といった名前が挙がっている。桜坂洋新城カズマは特に楽しみ。あと、クラッシャージョウが新装版で今年後半から出るとのこと。ダーティ・ペアの重版も合わせてお願いします。「タロスの嫁さんって、いったい誰なのさ!?」と、またもやもやさせてほしい(笑)。
ハヤカワ文庫SFではやはりなんといっても、ジーン・ウルフ新しい太陽の書》復活! 未訳だった五巻も刊行予定で、表紙は小畑健! 
単行本では久々のジェフ・ライマン「エア(仮題)」がとても楽しみ。以前同じく早川からでた「夢の終わりに」以来久々の単行本だよね? 「夢の終わりに」が実に悲しく切なく美しい物語だったので、非常に期待している。
しかし、決して話題性があるとは言えないこの「エア」が、原著の書影入りで紹介されているんだよね。ここらへん、早川らしい。編集者の好みが渋いというか、ちょっと商売がうまくないというか(笑)。


お次は東京創元社
昨年より国内SFの刊行を活発化させ、山本弘がノリノリで書いたであろうウルトラマンウルトラQへのオマージュ「MM9」、ランキング入りも果たした菅浩江「プリズムの瞳」のほか、渋いセレクトの復刊(新井素子眉村卓鏡明川又千秋などなど)でファンをうならせてくれたわけけれど、今年は新井素子ひとめあなたに…」(処女長編にして大傑作! この調子でぜひ「ラビリンス」も!)夢枕獏の初期作品集「遥かなる巨神」、今となっては伝説の作家になってしまった山野浩一の傑作選、そしてなんと笹本祐一妖精作戦ときたもんだ! ラノベ読みのみなさん、有川浩の「レインツリーの国」で取り上げられたあれですよ? 小川一水にハッピーエンドの呪いをかけた作品ですよ? 実は未読なので、この機会にぜひチェックせねば。
海外作品ではヴァーナー・ヴィンジ、ロバート・チャールズ・ウィルソンなどの他、あのJ・G・バラードの世紀の傑作「クラッシュ」が復刊! 刊行元のペヨトル工房もなくなって久しく、実にうれしい。クローネンバーグが映画化したけど、もう映画がかすんで見えるほどのすごい異常な作品なので未読の幸せな方はぜひ! 簡単に一言で言うと「かわいい、かわいいよ交通事故!」という本です。


角川春樹事務所。
すでに店頭に並んでいる小松左京賞受賞作は上杉那郎「セカンドムーン」。また、平谷美樹が「真紅の鏡像」で伝奇に挑戦。機本伸司は「神様のパズル」映画化に合わせ、続編「神様のパラドックス」を刊行するとのこと。そしてかねてから難航がご本人のブログでも伝えられていた小川一水の「レーズスフェントの暁」。ご本人のブログによると軌道に乗ったそうなので、楽しみに待つとしよう。


奇想コレクションでおなじみ河出書房新社
っていうか、アマゾンで注文していたのに、本屋でみかけちゃって我慢できずにジョン・スラデックの「蒸気駆動の少年」買っちゃいましたよ? どうしよう? どうしよう?
で、その奇想コレクションマーゴ・ラナガン「ブラックジュース」、ここ数年で人気作家になった感のあるジョージ・R・R・マーティン「洋梨形の男」(この人もほんの数年前まで、当時入手困難だった「サンドキングス」のみで知られる幻の作家だったんだよなぁ)、そしてお待ちかねグレッグ・イーガン「TAP」がいよいよでるとのこと。
文庫ではシオドア・スタージョン「海を失った男」が文庫化されるほか、マイクル・コニイ「ハローサマー、グッドバイ」が復刊!!!
山岸真がオールタイムベストに挙げ続けていた切ない(らしい)SFが、いよいよ読めるわけですよ。


出版芸術社から、日下三蔵が本当にアンソロジー「日本SF全集」を出してしまうらしい。無事に刊行されたら、これはまさに快挙。ぜひ編者・出版社ともに頑張ってほしい。
小松左京から古橋秀之までに対応した万能型。一家に1セット。かんべむさし水見稜、大場惑、高野史緒といった名前が挙がっているのも、なんとも嬉しいところ。みんながお帰りを待っていますよ。


そして刊行予定大将こと、または買い切り将軍こと国書刊行会
スタニスワフ・レム「短編ベスト10」、クリストファー・プリースト「限りなき夏」、M・ジョン・ハリスン「ライト」、サミュエル・R・ディレイニーの名のみ高かった大長編「ダールグレン」、ジーン・ウルフ The Wizard Knightと垂涎のラインナップだけれど、さて、このうち何冊が年内に刊行されるか!? 私は3冊とみたね(笑)。気長に待つので頑張ってください。
で、かゆい所に手をむりくり押し込む感じの《未来の文学》叢書、第3期のラインナップが予告されている。だ、大丈夫? 本当に? 信じていいのね??
羅列するとジーン・ウルフの短編集「ジーン・ウルフの暦」、ジャック・ヴァンスの短編集「奇跡なす者たち、R・A・ラファティの長編「第四の棺」、ジョン・スラデックの長編「ミュラーフォッカー効果」、ジョン・クロウリーの短編集「古代の遺物」、サミュエル・R・ディレイニーの短編集「ドリフトグラス」、伊藤典夫編のアンソロジー。そしておそらく最大の目玉であろうハーラン・エリスンの短編集「愛なんてセックスの書き間違い」(編者はスタージョン再評価の仕掛け人の一人、若島正だ!)。


さて、2008年もいくらお金があっても足りないみたい。
あげた中には刊行が遅れたり、中には刊行されなかったりする作品も当然出てくるんだろうけど、それもまたSFの華。楽しみに待つと致しましょう。